書評・映画評

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【書評】 茂木友三郎(2013)『国境は越えるためにある』日本経済新聞出版社(★★★★)

1959年(昭和34年)に、コロンビア大学経営大学院にひとりの日本人学生が入学した。その後に「キッコーマン」の社長(現在、名誉会長)に就任する茂木友三郎である。当時、米国でMBA(経営管理修士)を取得した日本人はめずらしい存在だった。おそら...
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【書評】 稲盛和夫(2004)『生き方: 人間として一番大切なこと 』サンマーク出版

「俺の株式会社」(ブックオフ創業者)、坂本孝さんの自伝を執筆している。はじめてのノンフィクション小説である。坂本さんに関する資料を集めていて読んだのが、本書『生き方』である。初刷りから10年で、稲盛さんの代表作は100万部を突破している。
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【映画評】 百田尚樹(原作)『永遠の0(ゼロ)』(★★★★★)

東宝シネマ@錦糸町で『永遠の0』を観た。誰が見ても感動する映画である。上映開始1時間前で残席は2席のみ。8番スクリーンの最前列だけ。映画が始まると、隣りに座っていた若いカップルも、後部シートで6人が横に並んで座っている中年女性グループからも...
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【書評】 生源寺眞一(2013)『農業と人間:食と農の未来を考える』岩波書店(★★★★★)

成田発ー米子行のスカイマークの機内で、生源寺氏(名古屋大学大学院教授)の著書を読んだ。数か月前に、日本経済新聞の書評欄で紹介されていた。すぐに取り寄せたのだが、書斎の机の上に置いたままになっていた。食関連の取材が一段落したので読み始めている...
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【書評】 高岡浩三(2013)『ゲームのルールを変えろ』ダイヤモンド社(★★★★★)

日本ネスレ社長の高岡さんには、「日本マーケティング協会」の発足時(2012年)に、シンポジウムのパネラーをお願いした。「元気な外資の若いトップ」という印象を持った。わたしはそのときは司会役だった。最近になって、高岡社長が著書を出版されたと聞...
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【新刊紹介】 三浦しをん(2013)『政と源』集英社(★★★★★)

直木賞作家には、ふつうの作家とすごい作家がいる。三浦さんは、「本物の」直木賞作家だ。2006年に29歳で直木賞を受賞している。まだ30代だと思うのだが、この年にして老境に入った人間の感覚がわかるのだからすごい。読み進むうちに、「37歳の若い...
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【書評】 久松達央(2013)『キレイゴトぬきの農業論』新潮新書(★★★★)

”ひっかかり”の少ない本である。すらりと読めてしまう。理由を考えてみると、著者の頭の中が「すっきり」と整理されているからだと思う。たとえば、野菜の美味しさを決める要素は、単純明快に3つに分解されている。栽培時期(旬)、品種、鮮度で野菜のおい...
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【映画評】 スタジオジブリ(宮崎駿監督)『風立ちぬ』「わたしが宮崎作品に感じた”戸惑い”の正体」(★★★★)

封切りから2か月、宮崎駿監督の『風立ちぬ』はいまだ観客動員数でトップを走り続けている。先月末、釧路マラソン(30K)を走る前の夜に、大森のテアトル系の映画館でジブリの新作を見た。映像の美しさに反して、大いなる違和感を感じてスクリーンを後にし...
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【新刊紹介】 田邊学司(2013)『なぜ脳は「なんとなく」で買ってしまうのか?』ダイヤモンド社(★★★)

新刊本を贈られたらすぐにお礼状を書くのが習慣である。ところが、大学は一斉休暇。礼状を出す代わりに書評を書くことにした。「マーケティング・サイエンス学会理事」とカッコ書きにあったから、著者はサイエンス(技術)寄りの先生としてわたしに献本してく...
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【書評】 越谷オサム(2011)『陽だまりの彼女』新潮社(★★★★★)

恋愛小説は読まない。書店でラブストーリーを買い込むなど、およそ考えもつかない。そうなのだが、なぜか親しい女ともだちから、「先生、絶対に読んでくださいね!」と懇願された一冊だった。夏季集中授業時に、駅前の「戸田書店」で店員さんに書名を検索して...