【お知らせ】ローソンの”食品ロス削減プログラム”「FOOD GOOD SMILE」、8月5日からスタート。  

Day Watch

 ローソンは、8月5日から、全国のローソン店舗(約1.4万店)で、値引きシールが貼られているおにぎりなどの購入を促進するため、「食品ロス削減プログラム」をスタートさせた。テスト期間は、11月3日までの約3か月。消費期限が来て値引きシールを貼付されたおにぎりを購入すると、1個につき1円分の金額で購入したお米を福祉施設への寄付する(アイキャッチ画像を参照)。
 

 この施策「FOOD GOOD SMILE」は、2019年6月から愛媛県と沖縄県の2か所でテスト的に実施された「アナザーチョイス」(寄付付きのポイント還元プログラム)への再挑戦である。
 6年前は、値下げ商品(シールを貼ったおにぎりなど)の購入者に、①5ポイントを還元すると同時に、②2つの県の福祉施設(子ども食堂など)へ5ポイントを寄付する取り組みだった。
 筆者と宮﨑純専務(当時)による現場視察と、MO(複数店オーナー)さんたちへのインタビューが残されている。当時の記録は、4回に分けて本ブログに発表してある(https://kosuke-ogawa.com/?p=11256https://kosuke-ogawa.com/?p=11258https://kosuke-ogawa.com/?p=11269 https://kosuke-ogawa.com/?p=11270)。
 ただし、「アナチョイ」(アナザーチョイスの省略形)は、短期間で実験を終えてしまっている。しかし、このスキームを起案した涌井副本部長(当時、ローソン商品本部)は、わたしとのインタビューで再挑戦を誓っていた。また、インタビューに応じてくれた沖縄と愛媛のMOさんたちは、福祉施設への寄付をポジティブに受けとめてくれていた。

 ところで、「おにぎりの廃棄ロス削減に1円寄付」(アナチョイの再挑戦)が、テスト期間後も継続できるかどうかは、改訂されたフードロス削減プログラムに、お客さんと店員さんがどのように反応するかで決まると思っている。
 取り組みの主たる目的は、フードロス削減と社会貢献である。このスキームが持続可能であるためには、プロジェクトがふたつのストレスの緩和に成功するかどうかに掛かっている。すなわち、①店員さんが値引シールを貼るときのストレス(心理的・作業的なストレス)を緩和できるかどうかと、②お客さんが値引き品を手に取るときの一瞬の躊躇(購買ストレス)にどれくらい効果があるかである。
 過去のインタビューから、「FOOD GOOD SMILE」の取り組みは、両方のストレスにある程度は効果があるとわたしは予想している。理由は、以下の通りである。
  
 ここまで約1年間、ローソンは全社を挙げて、フードロス削減のための値引き販売を実施してきた。それなりの時間を掛けて、売上増で加盟店の最終利益も増えてきている。また、お客さんが値引きシールに慣れ始めている。そこに、今回は寄付によるポイント還元を実施することにした。計算してみるとわかるが、本部の経済的な負担は、アナチョイ(全国展開を想定)のときほどではない。
 前回のチャレンジ(アナチョイ)では、「フードロス削減」と「ポイント還元」の二兎を追おうとした。地域が限定されていたので、プログラムそのものの認知率もあまり高くできなかった。今回は、消費者が値引きに慣れたところで、狙いを「寄付行為」(福祉施設へのお米の寄付)の一点に絞っている。
 しかも、ローソン全店で3ヶ月間、このプロモーションが展開される。広報部のプロモーション力とメディアの支援がキーにはなるが、このところローソンの取り組みがメディアに取り上げられやすい環境になっている(例えば、千葉県の海岸寄りのローソン6店舗で、駐車場を宿泊施設として利用する取り組みなど)。

 明らかに、コンビニで賞味期限切れが近い商品を値下げすることに、来店客は慣れてきている。お客様の「頭の中」はすでに変わっている。そこに、値下げした商品を購入する”言い訳”が加わる。フードロス削減に協力することで、社会貢献が可能になる。値引きされた商品を手に取ることは、社会的に良き実践でもある。
 クルーさんたちの立場も同様である。最終的に、値下げシール貼りの作業的な苦痛と、商品を廃棄するストレスはこれまでより緩和されるだろう。心理的なストレスからの解放は、最終的に機能するように思う。きっと、次なるバリエーションも用意されているように思う。
 GOOD LUCK!

 

コメント