ポイント還元の実験店舗視察#3: 御巣鷹の日に、JAL907便で沖縄に飛ぶ

 台風10号が接近する中、ローソン沖縄の店舗視察に向かっている。羽田空港8時55分発のJAL907便。那覇空港へ11時25分到着の予定。本日は御巣鷹の日、1985年の今日、JAL123便が墜落した日である。8月12日に奇しくも、ローソンの竹増定信社長が50歳の誕生日を迎える。8月2日生まれの我が長男坊38歳と同じで、竹増さんは獅子座の男子である。特徴は、自由で努力家!

 

さて、前回の愛媛の視察では、松山市内で合計8店舗を巡回した。視察後に長めのレポートを、松山空港からの帰りの便でメモに残している。
今回は沖縄の店舗を視察するが、松山市内の視察から二週間以上が経過している。前回の考察を忘れないために、前回の4つの仮説と店舗視察の結果について復習しておく。また、視察のポイントを事前にこの飛行機内で確認しておくことにする。
 
松山市内の店舗巡回で確かめた仮説が4つあった。ただし、ACは、アナザーチョイスの略号。

<視察後の仮説検証>
1.販売量とAC効果の因果関係
 日販が大きな店舗は陳列量が多いだけでなく、廃棄も多い傾向が見られた。廃棄率が高いので、ポイント還元施策の効果が出やすい。ただし、認知率と理解度が上がらないと本当の意味でACの効果が上がらない。特に、おにぎりでこの傾向が確認できた。
  
2.カード利用率との相関
 カード利用率と来店客中のヘビーリピーター率とは相関が高い。アナザーチョイス、ACの理解度が上がれば、ロイヤル顧客はAC施策に反応する可能性が高い。データ数が十分ではなかったので、沖縄でも確認のこと。
 
3.陳列方法の変更効果
 仮説とは逆に、先入れ先出し(早い便の商品を前に置く)の陳列の方が、ACの効果が出やすい。他方で、ACの認知度と理解度が10パーセント前後と低いことが確認できた。
沖縄の視察では、別の陳列方法、2便の商品をまとめてコーナー陳列する店舗を探してみたい。特に、廃棄が減らない弁当は有効なように思った。

4.キャンペーンとの相乗効果
 ACの告知を熱心にしている店舗では、キャンペーンの効果が出ていた。沖縄では、シングルマザー率が高いので、広報とコマーシャルの効果で認知度が上がっているのではないかと思われる。

 
<オーナーのインタビューから>
効果改善への示唆

1.仕組みの理解度の低さの解決策
 AC施策が来店客にあまり理解されていなかった。また、当初のテレビの効果が長続きしていなかった。環境が異なる沖縄では、もしかするとTVコマーシャルは有効のように思う。わかりにくい制度を理解させるために活字媒体、つまりチラシや新聞記事、店頭でのフライヤーなどのはどのように使用されているのか?
   
2.ACの公共性
 愛媛では、ACの仕組みとくに寄付行為に対する支持が高かった。フードロス削減に対する公的な役割をローソンが担うことに対して、オーナーは誇りを持って語っていた。とくに、女性のオーナーと若手従業員からその声を聞いた。沖縄でも同じか、あるいはそれ以上の支持が得られているのではないのか?
 
3.対象カテゴリーの拡張
 フードロスを半分にしようとするならば、デザート、麺類、チルド弁当、惣菜、サラダ、FF、パンなどに広げることが必要である。沖縄のオーナーたちは、実験の結果を受けて、この点に関してどのように感じているか?
 
4.AC値引き対象シールの扱い
 セブンイレブンの時間管理方式(全ての日配品で消費期限の5時間前から値引き開始)が理にかなっている。店頭で値引きシールを貼る方法もある。この点に関しては、つまり店内作業について、沖縄のオーナーたちは抵抗感を持つかどうか?
 
5.AC施策に対するアナザー提案
 子供達の食の問題を解決するという、沖縄の取り組みは地域で高く評価されているらしい。AC施策のメデイア露出が高いことを確認してくること。また、広報活動の効果を検証してくること。

6.ポイントの使い方を個人に選択させる
 沖縄のオーナーにヒアリングしてみたい事項の一つ。5ポイントが個人に、5ポイントが寄付に回る現行方式をデフォルトにして、10ポイントを全部寄付にあるいは10ポイントを自分のポイントに回す選択肢を、ポイントカード保持者に与えるという案。選択肢を与えるかどうかを衆議、総選挙方式にて決めてもよいのでは?小川提案はどうだろうか?
  
<沖縄での追加検討事項>
1.目的の達成
AC施策の目的は、フードロス削減とオーナーさんの手取りを増やすこと。今回の施策にAC施策は貢献できると考えているかどうか?いまのポイント還元の仕組みは、沖縄の消費者には伝わっているのか?愛媛との違いは?

2.値引きの表示方法
 %表示より、円表示にしてはどうだろうか?5%付与ではなく?50円引きで表示する。検討の余地ありか?

3.値引きシールを貼る方法
店頭で値引きシールを貼ると、店内作業が増えて、煩わしいと考えるオーナーが多かった。しかし、オーナーの手取りが増えるならば、工場でのACシール貼りと、店内での値引きシール貼りを並行しても良いのでは?
とくに、松山の調査では、翌日の昼に消費期限が来る3便納品にシールを貼ってもらいたいという意見が出でいた。沖縄でも同じリクエストがあるかどうか?