日経広告研究所報2013年6・7月号VOL.269に掲載されている『ソーシャルメディア時代のテレビ視聴~テレビは本当に視られているのか』(下)日テレアックスオン執行役員/法政大学大学院兼任講師 岩崎達也 朝日大学マーケティング研究所教授 中畑千弘 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授 小川孔輔 をアップする。
『ソーシャルメディア時代のテレビ視聴~テレビは本当に見られているのか~』(下)
日テレアックスオン執行役員/法政大学大学院兼任講師
岩崎 達也
朝日大学マーケティング研究所教授
中畑 千弘
法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科教授
小川 孔輔
本研究は、若年層のマルチウインドウでの「同時視聴」や、テレビを視ながらスマートフォンでつながる「ソーシャル視聴」が進行する中、(1)テレビ番組は実際にどれほど視られているのか、(2)視聴者はどのような態度でテレビを視ているのか、(3)成熟した視聴者はコンテンツをどのように取捨選択しているのか、の3つの課題をもって調査をスタートした。そして、(4)テレビがどのように視られているのか、を明らかにすることで、テレビ番組や広告の作り手にとっての、番組や効果の高い広告を制作するためのヒントを得たいと考えて取り組んだ。
我々は、こうした課題に向けて、本稿<上>の図表3に記載の「スタディ1」~「スタディ4」の4つの調査を実施したが、その結果、「スタディ1」では「メディアながら」の進行と多様化によって、「若年層」では、「パソコン」や「携帯電話(スマートフォン)」が生活の中で重要性を増しており、「テレビ」の相対的地位が低下していることがわかった。
「スタディ2」では、「テレビ視聴時のテレビとパソコンの位置関係」について調べたところ、「目」はパソコン、「耳」はテレビで、音によって気になったところを視て、テレビ画面に興味がひかれれば「つまみ食い視聴」する形態、テレビの音声を聴きながら番組内容をその都度確認していき、内容が特に気になったところのみを「確認視聴」する形態があることを発見した。この2つのスタディで、音の重要性が増していることは検証できたが、音の効果を考えた番組、CM作りのためには、視聴者がテレビ画面に目を向けるきっかけ、そのための要素などについてさらに詳しく分析する必要があり、「スタディ3」、「スタディ4」を行うこととした。
4.視聴実態の検証~見える化PARTⅡ
図表11 スタディ3、スタディ4の調査概要
スタディ3
観察調査 スタディ4
視線計測実験(アイカメラ)*
ビデオグラフィー
調査・実験時期 2011年11月26日、27日 2012年5月17日
調査・実験目的 スタディ1、スタディ2で明らかになった視聴形態において、音の重要性をさらに検証するために、視聴者はどんなきっかけでテレビ画面に目をやるのか、どんなきっかけでテレビ画面から目を離すのかについて明らかにすることを目的に実施。そして、テレビ番組は、開始から終了まで、実際にどれほど見られているのかについても検証した。
調査・実
験方法 観察法
※被験者の土日の夜(19~21時台)のテレビ視聴状況を以下の2つの方法で観察し、シートに記録する方法
A.同居家族(被験者に伏せて視聴観察)
B.大学生(友人同士がペアで視聴観察) 視線計測実験(アイカメラ、ビデオ撮影)
※被験者に普段のテレビ視聴と同様に録画されたテレビ番組を視聴してもらい、視線を計測する方法
調査・実験対象 首都圏 T(男・女)、M1、F1、M3、F3層
土日の夜(19~21時台)のテレビ視聴者
(大学生とその兄弟姉妹、親)
18名 首都圏 13~24歳男女(高校生、大学生)
9名
調査・実験内容 ・具体的な生活行動、メディア接触、会話、テレビに視線が向いたきっかけ、離れたきっかけなどについて、5分刻みで3時間にわたって記録。
・記録した行動すべてについて、視線がテレビに向かった行動、テレビから離れた行動について数量カウントを実施。 ・被験者には、普段のテレビ視聴と同様に録画されたテレビ番組(30分のバラエティ番組)を視聴してもらい、視線計測装置を接続した37インチディスプレイにて、約60センチの距離から視聴してもらった。
・できる限り普段通りの視聴をしてもらうため、視聴条件を定めて実施。
注)スタディ4の実験機器には、Tobii T60X アイトラッカーを使用し、解析にはTobii Studio™ Enterpriを使用した。
(1)「スタディ3」:テレビ視聴における「音」の重要性の検証
本稿<上>で示した「スタディ1」「スタディ2」において、若年層では、パソコンや携帯電話などをしながらテレビを視る視聴形態が進行しており、その場合、テレビ画面に視聴者が視線を向けるのは、音声によることころが大きいことがわかった。そこで、視聴者はどんなきっかけでテレビ画面を視るのか、また、どんなきっかけでテレビ画面から目を離すのか、そして、どのような音であればテレビに反応するのかなど、音の種類や音の変化について検証することとした。2011年11月、被験者のテレビ視聴状況を観察し、シートに記録する方法で観察調査を実施した。この調査は、土日のゴールデンタイムに、大学生が同居家族(兄弟姉妹や親)である被験者に伏せて視聴状況を観察するパターンと、大学生の友人同士がペアとなって相手の視聴状況を観察するパターンの2つの方法で行なった。したがって、対象はT(13~19歳男・女)、M1(20~34歳男)、F1(20~34歳女)層に加えて、その親の世代であるM3(50~69歳男)、F3(50~69歳女)層も含まれており、合計18名の記録がとれた。
また、この調査では、具体的な生活行動、メディア接触、会話、テレビに視線が向いたきっかけ、離れたきっかけなどについて、5分刻みで3時間にわたって記録しているため、その間にテレビがどの程度見られているかを確認するためのヒントにもなった(図表12)。
図表12 観察シート記入の一例
◎発見4、テレビ注視のきっかけ
「笑い声」「歓声」「特徴あるナレーション」など
視聴者がどんなきっかけでテレビ画面に目をやるのか、シートに記録された観察結果をもとに件数をカウントした。その結果、図表13のグラフに示す通り、「笑い声」「歓声」「騒がしい音声(雷の音、叫び声、太鼓の音)」、「コーナーの区切りでの効果音」「地震速報」など音に反応してテレビ画面に視線が向いたことがわかった。パソコンや携帯電話を見ていても、このような音によって、思わず顔を上げて、テレビに視線を送ったことが観察記録から数多く確認できた。
また、お笑い番組で気になるタレントが登場した場面や、調査時にフィギュアスケートの世界大会の放送があったが、注目するスポーツ選手が登場した場面でもテレビに視線が向いた。注目する人の登場時には拍手や歓声が聴こえるため、その音に反応してテレビ画面に目が向くこととなる。
図表13 テレビ画面を注視したきっかけ
◎発見5、テレビから目をそらすきっかけ
「携帯メールや電話の着信・閲覧」
一方、視聴者がどんなきっかけでテレビ画面から目を外したのかを同様にカウントしたところ、「携帯メールの着信」「電話の着信」などの他メディアの割り込み、「携帯Webの閲覧」「パソコンメールの閲覧」「パソコンでのWeb閲覧」など自らが他メディアに目を移すものが主で、メディア同士の「ながら視聴」を反映した結果となった(図表14)。テレビ視聴時にT(男・女)、M1、F1層の4分の1がパソコンを、6割強が携帯電話を手元に置いているという定量調査の結果通り、パソコンと携帯電話の存在がテレビ視聴態度に大きく関係していることが改めてわかった。
その他、「CM」「夕食準備、夕食、片付け」「トイレ」「運動・エクササイズ」が上位に挙がったが、なかでも「運動・エクササイズをしながらの視聴」で視線をそらすというのは大変興味深い結果であった。
図表14 テレビ画面から視線を外したきっかけ
◎発見6、テレビ視聴と30分限界説
この観察調査からは、「テレビが実際にどの程度見られているのか」という課題に対しても、いくつかのヒントが得られた。ひとつは、テレビ視聴が映像の流れではなく、音の流れの中で行われている事実が観察できたことである。音(声、歓声、効果音)などによって状況を察知し、テレビに視線や顔を向け、気になった部分だけを視聴する「つまみ食い視聴」や、テレビの音声を聴きながら、番組内容を追いかけていき、内容が特に気になったところのみを視聴していく「確認視聴」のような、「スタディ2」で示した見方でテレビは視られている。音と映像との逆転と結論づけるのは早計だが、音が重要な要素となっていることは間違いない。
もうひとつは、1時間番組の場合、30分過ぎあたりからウトウトし始めたり、携帯電話やパソコンを始めたりするなど、テレビに飽きる様子がうかがえたことである。番組そのもののコンテンツ力に起因するところもあるため複数番組による検証が必要ではあるが、30分を経過した時間帯で「飽き」の兆候が多く観察された点は注目したい。
携帯電話(スマートフォン)やパソコンとの「メディアながら」の進行や、テレビの音による注視、細切れ型の視聴傾向、1時間の連続視聴に耐えられないなど、調査の結果は、番組制作のためのコーナーづくりや、流れをつくる上で貴重なインプリケーションとなるだろう。
(2)「スタディ4」:視線計測とビデオ撮影による検証
12年5月には、「スタディ3」で得た定性的な観察結果をさらに検証するため、実際のテレビ視聴時の視線を計測装置によって捉えることで、テレビ画面への注視分数などを測定し、その変化で注視のきっかけや、目をそらすきっかけを明らかにしようと視聴実験を試みた。
また同時に、被験者の様子をビデオで撮影することにより、視線をそらした瞬間の様子や視線を戻す瞬間を観察し、明確な視聴状況を確認できるようにした。この一連の実験は、高校生、大学生あわせて9名を対象に実施され、テレビ画面の視線停留データを得た(7)。
被験者には、録画されたテレビ番組(30分のバラエティ番組)を、視線計測装置を接続した37インチディスプレイにて、約60センチの距離から視聴してもらった。ただし、できる限り普段通りの視聴をしてもらうため、図表15に示す視聴状態を前提条件とした。
図表15 視線計測実験の様子と前提条件
◎発見7、テレビ画面への注視のきっかけ
「注目タレントの声」「笑い声」「音楽」など
「スタディ3」の観察調査と同様、「スタディ4」の視線計測実験においても、注目タレントの声、歓声、笑い声、盛り上がりの音、音楽、特徴あるナレーション、セリフなどによって、被験者の視線がテレビ画面に向かっていることが確認できた。図表16は、深夜のバラエティ番組の買い物ゲームで勝利したチームが歓声を上げ喜ぶシーンで、その歓声に反応して視線が集まった場面である。
また、テレビCMについても、番組と同様に、音によってテレビ画面に視線が向かうことがわかった。図表17は、「映画 ホタルノヒカリ」のスポットCMにおいて、俳優の綾瀬はるかさんと藤木直人さんの登場と、その2人の掛け合いのセリフに反応して視線が集中した場面である。視線は主に2人の顔を行き来する形で画面を捉えている。
図表16 深夜バラエティ番組で歓声が沸いたシーンの視線移動、停留
(日本テレビ系列「浜ちゃんが!」 読売テレビ制作)
(高停留層 3.3秒間 ゲイズプロット)
(低停留層 3.3秒間 ゲイズプロット)
*「ゲイズプロット(Gaze Plot)」は、視覚刺激で使用したそれぞれのビジュアル(例えば、動画の場合、分析対象とする視覚刺激の一部を切り取ったシーン)に停留の順番と停留の長さを示し、注視の流れを視覚化するためのツール。停留は丸として図示され、丸の直径は、停留の長さを反映する。丸の中には数字があり見た順番を表す。
図表17 テレビCMでタレントの声に反応して停留する被験者の視線
「映画 ホタルノヒカリ」のシーン(5.4秒)
(高停留層 5.4秒間 ゲイズプロット3)
(低停留層 5.4秒間 ゲイズプロット)
*事情により、実際の映像をイラスト加工したものを使用しています。
◎発見8、テレビ視聴は「高停留層」と「低停留層」に二分。視ている時間は半分以下
被験者9名のデータを統合して、テレビ画面への停留時間をみると、30分(1800秒)のバラエティ番組における平均停留時間は13分12秒(792秒)で、44%程度であることがわかった。今回の実験は、着席せざるを得ない状態で実施しているが、この状態であっても映像への注視割合は半分以下に過ぎなかった。
また、被験者ごとの停留状況を分析してみたところ、停留した割合が47.2~83.3%あった高停留層と、停留が4.5~23.9%であった低停留層の2タイプに大別された(図表18)。高停留層においては、従来言われている通り、テレビ視聴は映像と音の流れの中で行われていて、事後アンケートでは、被験者の視聴時間感覚も計測された通りであった。一方、低停留層においては、テレビ視聴は音の流れの中で行われており、計測された時間よりももっとテレビを視ていたという時間感覚があり、低停留にもかかわらず具体的な番組内容(流れ)は認知していた。
テレビ視聴は「チラ見」の集積で成り立っており、気になる音や盛り上がりでテレビ画面に目を移す「つまみ食い視聴」や「確認視聴」をしながら番組を楽しんでいる。
図表18 深夜バラエティ番組(30分)のテレビ画面への視線停留時間 (移動含まない時間)
◎発見9、高停留層は右肩下がり、低停留層は右肩上がりの視聴
30分番組を前半10分、中間10分、後半10分の3つに分割して、視線の停留時間を高停留層と低停留層とで比較してみた(図表19)。高停留層は、後半になるにつれて停留時間(移動含まず)が徐々に減少しており、視聴疲れなのか、「スタディ3」と同様に、視聴開始から30分あたりでテレビ映像への注視が薄らいでいる。これが「飽き」によるものなのかどうかは裏付けられないが、30分あたりでの視聴集中に変化が起きていることはわかる。
一方、低停留層は、後半になるにつれて、停留時間が増加している。番組に興味関心がなければ、調査対象とした番組の一番の盛り上がりの場面である終盤(勝利チーム発表)に視線が向かうことは考えにくい。番組後半までは音声で番組ストーリーを理解できる程度に視聴し、終盤には「勝利チーム発表(盛り上がり)」を視聴するために集中的にテレビに視線を向けたと考えられる。停留回数で比較してみても同様に、高停留層は後半になるにつれて回数が減少するが、低停留層では後半ほど回数が増加している(図表20)。
高停留層は、右肩下がりの視聴、停滞留層は右肩上がりの視聴であることが確認でき、後者に関しては、音声を主体としたテレビの見方がより顕著にみられることが視線計測実験からも明らかになった。
図表19 深夜バラエティ番組(30分)のテレビ画面への視線停留時間 (移動含まない時間)
5.研究のまとめ
スタディ1~4の調査によって、テレビ視聴に関して8つの発見があった(発見4と7は同一のためひとつにまとめた)。
① テレビとスマートフォンなど、複数のデバイスによるマルチウインドウ視聴の進行とテレビの相対的地位の低下
② テレビとパソコンのダブルウインドウ視聴にける3形態。「チラ見」(0~30度未満)、「首振り」(30~90度未満)、「ひねり」(90~180度)
③ 目はパソコン、耳はテレビ、テレビ視聴は音の流れの中で。「確認」のための「チラ見視聴」
④ テレビ注視のきっかけは「笑い声」「特徴あるナレーション」「音楽」「注目タレントの声」など
⑤ テレビから目をそらすきっかけは「携帯メールや電話の着信・閲覧」、「CM」など
⑥ テレビ視聴は30分まで(30分限界説)。1時間番組では、30分過ぎからウトウトしたり、携帯やパソコンを始めたり
⑦ テレビ視聴は「高停留層」と「低停留層」に二分される。番組を注視している時間は全体の半分以下(両層の平均44%)。
⑧ 高停留層は右肩下がり視聴、低停留層は右肩上がり視聴。高停留層は、飽きや結末が見えたことによる視聴時間の減少か。低停留層は、結末に向けての結論の確認か
テレビ視聴は、画面を注視する行為ではなく、むしろテレビの音を聴き、気になったところで画面を確認する「チラ見」の集積で成り立っている。また、その視聴の間にも携帯電話やスマートフォンで友人とメールなどでやり取りしているため、テレビ画面への注視は否応なく細切れになり、音声によってストーリーを捉える視聴になる。
さらに、生活者のテレビ視聴への熟練がある。彼らは、テレビ番組の構成を理解しており、気になる音や、拍手、好きなタレントの声などを確認するだけで番組をほぼ理解でき、テレビを楽しむことができる。したがって、スタディ3でも確認できたが、余程好きなものを除き、連続30分間の視聴には耐えられず、ほかのことをやりながらの「チラ見視聴」となる。
6、実務への含意と今後の課題
調査分析で得た知見から実務への含意を導き出すと、次のようになるだろう。まず、テレビ番組の制作に関しては、
含意1、コーナーのどこからでも参加できる番組づくり。カットイン、カットアウトがしやすい構成。
含意2、気になる音楽やせりふ、盛り上がっている感じの音声など、音の使い方への留意。
含意3、熟練した視聴者の読みをほどよく裏切る構成。
こういった、マルチウインドウ視聴やソーシャル視聴に対応したクリエイティブへの工
夫が求められるだろう。
CM制作に関しては、
含意4、気になる音や音の変化、旬のタレントの声、訴求したい世代の音楽で惹きつける。
ユニクロは、あえて音楽を使用しない自然音だけのCMを展開していたが、ヒートテックのCMは、映像は商品とそれを使う生活者の姿、それに「鉄腕アトム」のBGMをつけたものである。なんだろう?と振り向かせる力がある。どんなにいいCMでも視られなければ訴求しない。図表14で示したように、CMは画面から視線を外すタイミングにもなっている。視線がスマートフォンなどにある生活者を振り向かせるためには、なおさら音の要素が重要である。サントリーのBOSSや、ソフトバンクの「白戸家」のCMなど、お馴染みのストーリー性のあるCMであれば、最初の音によるアテンションだけで、今回はどんな展開だろうと気になり振り向いてくれる。
インターネットのプラットフォーム上には、番組、情報、ゲーム、ユーチューブなどの映像ほか多くのコンテンツが上がっており、それらがスマートテレビやスマートフォンなどのデバイスで、それぞれ自由に視聴されている。生活者の可処分時間の中でメディアに割く時間の割合が増えたとしても、それぞれに使用する時間はますます限られたものになってきている。特に若年層に限っていえば、あるメディアのコンテンツが長時間単独でコンタクトされることは、もはやないと考えられる。コンテンツの制作は、そういったメディアスケープを頭においた上でなされる必要がある。
定量による予備調査から、観察調査、ビデオグラフィーによる調査や視線計測実験といった定性的な検証によって、視聴傾向のおおよそは明らかにできた。しかし、調査サンプルが少ないこと、学生に偏っていること、実験の場の環境が実際にテレビを視る環境と異なることなど、検証の精度をあげることが今後の課題として残っている。また、集中視聴が多いとされるドラマなど、他ジャンルでの検証を行うことも必要だろう。
そして、友人と情報をシェアしながら番組を視る「ソーシャル視聴」が普及しているが、テレビ画面の注視だけではなく、スマートフォンを主体にした検証など、取り組むべき課題はまだまだある。マスメディアの停滞とソーシャルメディアの進展、またその融合など、変革期における生活者のメディアへの接触態度を明らかにすることは、メディア、コンテンツ業界にとって大変有用なことと考える。
(7)視線の速度が閾値(30degree/second)を下回っている場合、「停留点」として計測される。「停留時間」は視線の移動を含まない停留の時間合計(秒単位)。「停留回数」は「停留点」の量で表される。