定期購読している『日経MJ』で、珍しい記事を見つけた。「ご当地PRICE」というコーナーである。今回(6月10日号)のテーマは、「オランダ・キューケンホフ公園、入園料6,000円」。入園料6,000円は、アムステルダムからのバス代込みのお値段(37€)らしい。
ユーロは、本日現在164円/€。このところ、円に対して大幅高になっている。欧米の通貨に対して、日本円は一人負け状態である。東京や京都のような観光都市に限らず、日本中でインバウンド客を見ない場所はない。それとは逆に、日本人にとって欧米向けの海外旅行は高値の花である。JFMAでも欧州ツアーを企画したが、記録的な円安に阻まれて、ドイツ(IPM)とフランス(メゾンエオブジェ)の展示会ツアーが企画できなかった。
気になったので、過去の為替レートを調べてみた。2012年8月は、98円/€。ユーロが100円を割っていた。その頃、欧州ツアーで泊まったホテルは、ほとんどが4つ星か5つ星である。日本国⺠のひとりとして、この事実にひどい屈辱感を味わったものだ。
ところで、総面積32ヘクタールのキューケンホフ公園には、チューリップやヒヤシンス、クロッカスなど、年間700万個の球根が植えられている。春の球根に特化したキューケンホフ公園は、春(3月〜5月)の約2か月間だけの開園である。年間の入園者は約100万人。一日換算では約2万人になる。それでも、広い公園だから驚くほどの人数ではない。欧州ツアーがリーズナブルだった2000年ごろ、キューケンホフを訪れたことがある。日本の行楽地と比較すると、入園者も公園内をのんびりと歩いていた。ユーロの対円為替レートは、その頃も100円/€前後。だじゃら、入園料は、日本円で約3600円だったことになる。
ここまで書いて、日本のフラワーパークの入園料が気になった。コンセプトと建物のデザインを花の国オランダに模したのが、⻑崎のハウステンボスである。異国情緒あふれる、オランダらしい運河や風車があるテーマパークだ。入園料は、大人7,600円。今の為替レートで、ハウステンボスはキューケンホフの入園料に近い値段になる。
10年前ならば、欧州からのインバウンド客は、ハウステンボスの入園料として約1万円(円/ユーロ換算)を支払っていたことになる。ハウステンボスの来場者数は、年間約300万人(2024年)。年間を通して営業していれば、キューケンホフ公園もこのくらいの来場者になるのだろうか? それでも、合理的なオランダ人はそんな無理はしないだろう。
なお、関東地方のフラワーパークとして名前がすぐに想起できる「あしかがフラワーパーク」の入園料(ピーク時)は、大人800円〜2,300円(4月〜6月)。あしかがフラワーパークより知名度はやや落ちるが、「いばらきフラワーパーク」の入園料(ピーク時)は、大人900円〜1,800円(4月〜6月)である。年間の来園者は、いばらきフラワーパークが約20万人(2023年)。日本最大級の植物テーマパークであるあしかがフラワーパークは、年間の来場者が150万人を超えている(2024年)。
こうしたデータを見ると、日本人は「花好きの国⺠」であることがわかる。そして、日本人には、花を見るのに入園料を払わなくてよい時期がある。桜と紅葉のころ、街中がフラワーパークになるからだ。
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