【NewsPicksの記事から】「地域共生コンビニ」、スーパーの過疎地にローソンが続々と出店

NewsPicksが、昨日(7-11の日)に、ローソンの記事を掲載している。タイトルは、「【攻勢】スーパーも撤退した「過疎地」でローソンが増殖中」(https://newspicks.com/news/14647854/body/?ref=search)。編集部記者の滝口亜希さんが記事を書いているが、元ネタは、ローソンの広報チームと拙著『ローソン』(PHP研究所、2025年)である。
 

 コンビニエンスストア大手のローソンが、過疎地に相次いで新規出店している。
 物流面でのハンデを抱えた北海道最北端の地や、住民の高齢化や人口減少などで既存のスーパーマーケットがやむなく撤退するなどしたいわば「難しいエリア」に進出し、それも好調な売り上げを記録しているというのだ。
 高齢者の4人に1人が「買い物難民」とされる中、住民に身近な買い物の場をなんとか確保しようと、出店コストを一部負担して誘致する自治体も。
ローソンにとっても、コンビニ店舗数が飽和状態に近づく国内において、過疎地は重要なポテンシャルを持つ商圏となっている。
 ただの「社会貢献」では終わらない、ローソンの「きちんともうける」出店戦略を見ていこう(昨日の記事、リード文)。

 記事の構成は、「INDEX(もくじ)」に書かれた4つのポイント。
 
• 240キロ先まで商品を運べ
 「効率よく物流と出店数を組織せよ」ということ。稚内の4店舗同時出店(トラックを一便で満載にするため)やバックルームのスペースを広くとる(吹雪の時のように、非常時に備える)。また、まちかど厨房のような調理設備を持っておくこと(同時に、冷凍品の素材で調理ができる)。
 
• 商品充実で採算を確保せよ
 販売する商品は通常の品揃えでなく、青ローソン以外の複数業態(ナチュラルローソンや成城石井、MUJIなど)や地元産品(お土産)、過疎地では提供できなかったサービス(銀行、エンタメ系、チケット販売)などを提供することで、客単価を上げる方策を講じること。
 
• 人の流れも変わった
 スーパーが撤退した場所にコンビニを出店する。コンビニでは通常は置かれていない生鮮品などが売れることになる。それが客単価のアップに貢献して、出店困難地(客数が期待できない過疎地)でも採算がとれる。
 
• インフラであり営利企業
 過疎の村や町から、コンビニの出店に対してなんらかの補助が出ている(土地の無償提供や設備に対する補助金)。それでも、事業的に難しいエリアに出店していくのは、コンビニの社会的な役割(コンビニが生活のインフラとして欠かせない)が別にあると考えるから。ただし、課題もないわけではない。種々の補助金は初期投資を軽くするが、それが永遠に続くわけではない。

 この記事に書かれていない大切なポイントがある。それは、拙著『ローソン』で紹介したが、過疎地への出店を成功させるためには、コンビニを経営するオーナーの選択が重要である。MO制度(複数店を経営している企業家的で経験豊富なオーナー)がないと、北海道の稚内市や厚真町、和歌山県の田辺市龍神村など、過疎地でコンビニの運営はできない。
 そして、企画から出店までの意思決定を、地域の自主性(ローソンの場合はカンパニー)に任せないと、スピーディーにことが運べない。本部が関与する集権的な組織決定では、複数の課題が生じたときに時間がかかりすぎることになる。

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