書評・映画評

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【書籍紹介】井田徹治(2010)『生物多様性とは何か』岩波文庫(★★★★)

直感的に正しいと思っていることのひとつに、「生物(種)の多様性」の確保がある。ただし、科学的に証明したデータを見たことがなかった。なぜ人間や地球にとって生物の多様性が必要なのか。ロジカルな説明が必要とは感じていたが、論理的に詰めて考えたこと...
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【書評】ランド・ポール/浅川芳裕訳(2015)『国家を喰らう官僚たち:アメリカを乗っ取る新支配階級』新潮社(★★★)

表紙も帯も(苦笑)小川先生の本並みにセンセーショナルだ。自由の国アメリカで、官僚が新しい支配階級になりつつある。「国家の略奪行為だ」と現職上院議員ランド・ポール氏が激白している。官僚国家に成り下がってしまった米国への警鐘と、市民の自由侵害に...
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【書評】 岩井克人(2015)『経済学の宇宙』日本経済新聞出版社(★★★★★+★)

こんなにおもしろくて知的好奇心を刺激する本は、この何十年か読んだことがない。無味乾燥な学問だと感じたので、20歳の時に経済学を専攻することをやめて経営学に転じた。マルクスは、イデオロギー的に過ぎて嫌気がさした。新古典派の経済学は、単なる数学...
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【書評】 大西洋(2015)『三越伊勢丹ブランド力の神髄: 創造と破壊はすべて「現場」から始まる』PHP新書(★★★★)

かみさんから手渡された本だ。評価は慎重に。大西社長の本の奥付は、5月1日になっている。社員向けには、8月になってお中元代わりに配布されたものらしい。「誤字脱字がまったくない!」と、隣りにいる契約社員の女性が自慢していた。わたしの本はたしかに...
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【書評】 藤井聡 (2015)『超インフラ論 地方が甦る「四大交流圏」構想』 PHP新書(★★★★)

『新潮45』(5月号)では、筆者のマック批判が藤井氏の「大阪都構想批判」でかすんでしまった。本書を読んではじめて藤井氏が経済学者だと知った。アベノミックスの「第2の矢」(財政政策=公共事業)を積極的に活用すべきで、とりわけ整備新幹線にお金を...
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【書評】川島蓉子(2015)『社長、そのデザインでは売れません!』日経BP社(★★★★)

6人の大物経営者・天才クリエイターに対するインタビュー記録をまとめたもの。デザインがテーマだが、内容的には、経営のビジョンを扱っている本として読める。本のタイトルのつけ方が上手!思わず買ってしまった。
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【書評】 堤未果(2014)『沈みゆく大国 アメリカ』集英社新書(★★★★)

続編『沈みゆく大国 アメリカ~逃げ切れ日本~』が5月に発刊されている。とりあえず昨日は、正編を読んだ。事実を知って本当に残念だったのは、オバマさんの医療改革が不幸な結末に終わっていること。医療難民になった米国民の姿が本当だとすると、日本も確...
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【感想】 私の履歴書・似鳥昭雄さん(日経新聞・まとめ記事1~30)

人間の運命など、はっきり先が見えているわけではない。経営者としての成功もかなり不確かなものだ。家具の製造小売業ニトリの創業者、似鳥昭雄さんの自伝を連休中にまとめて読んでみた。30回分を一気に読み終えて、似鳥さんの人間としての率直さと逞しさに...
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【新刊紹介】 矢嶋孝敏(2015)『きものの森: 作ること、売ること、着ることの経営論』繊研新聞社

友人の矢嶋さんには、数年おきで大学院で講義をしてもらっている。そのたびに、きもの業界の新しい革新の姿について語ってくれる。今回の書籍は、各論をまとめたものである。前半部分は、わたしにとっておなじみの物語と概念である。早速、6月の学部ゼミ生の...
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【書評】 鈴木宣弘(2013)『食の戦争:米国の罠に落ちる日本』文春新書(★★★★)

著者は、農水省の元官僚。多くのFTA(自由貿易交渉)に携わってきた。その経験から書かれた提言の書である。日本がTPP(環太平洋連携協定)への参加を表明した直後の刊行である。自由貿易の推進が、食の安全や食糧の安定供給には必ずしもプラスに働かな...