経産省、農水省、環境省、国土交通省、4省の共同プロジェクトで現在、温室効果ガスの排出量算定式(PCR:Product Category Rule)を策定中である。農作物では、米が算定式の作成を終わっている。野菜および果樹、花きの算定式が策定中である。花きについては、日本フローラルマーケティング協会が「排出量算定式」を担当している。
PCRとは、簡単にいえば、一本の切り花を作って消費するまで、平均どのくらいのCO2が空気中に排出されるかを計測するものである。もちろん、作物によって、場所によって、その排出量は変わってくる。
米の場合だと、すでに完成した算定式をりようすることができる。秋田のコメ農家が作る4KGの秋田こまちについて、具体的な測定結果が出ている。それによれば、農家がお米を栽培して、輸送して、小売り店に届いて、販売されたお米が、ご飯になるまでに、CO2がすべて積算される。
標準的な米農家が栽培した米は、消費段階までに、6.7KGのCO2を排出している。お米それ自体に比べて、およそ約1.6倍のCO2を排出していることがわかっておもしろい。これが多いか少ないか、皆さんはどう感じられるだろうか?
それでは、切り花の場合はどうだろうか? ある花の産地で試算したところ、切り花一本あたり約240グラムのCO2が排出されていた。草花類の一本あたりの重量は、約50~60グラムである。60グラムとすれば、およそ本体に比べて、約4倍の二酸化炭素を排出していることになる。
ライフサイクルごとの排出量を試算してみる。種苗や資材の購入段階までで全体の9%、生産段階で45%、流通販売段階で45%の構成になっている。残りの1%が、水処理や焼却廃棄に関する部分である。生産と流通の段階が、ほぼ半分であることが興味深い。]
以上の数値は、まだ暫定値である。植物が二酸化炭素を吸収する分は、この数値からは控除されていない。これまで感覚的に言われてきたことだが、これでかなり真実がわかったことになる。野菜や果樹の部分は、宮崎県が中心になって、私どもも算定式の作成メンバーになっている。
この国家プロジェクトでは、農業のどの段階で、どのようにCO2を削減すべきか。その効果が科学的にわかるようになる。また、その方法も明確になる。
PCRの策定に、私ども日本フローラルマーケティング協会が関わっていることは誇り高い。