【柴又日誌】#219:運転免許の更新、昨日無事完了

 昨日(10月9日)、本所警察署で無事に普通運転を更新できた。家族からは、数年前から運転免許の返上を進言されている。近頃は物忘れがひどくなり、運転が危ないと警告されているからだ。実際的にも、ハンドルを握るのは、近場でマラソンを走るときや、地方出張でどうしても足(移動手段)がない場合に限られる。いまや、自動車の運転は月1回くらいの頻度である。
 
 元々、自動車の運転は嫌いではなかった。トヨタ自動車(商品企画部)のアドバイザーをしていた時期もあって、商品としての自動車には興味があった。ところが、車庫入れが当初から苦手だった。なぜなのか、その理由はよくわからない。想像するに、フォークダンスが下手なことと関連しているのだろう。
 運動神経は悪くはないと思うのだが、バランス感覚(三半規管の機能:平衡感覚)が普通の人より劣っているらしかった。それでも、サイドブレーキを離してからの運転は快適だった。スピード違反や一時停止で車輪がきちんと停まらず、おまわりさんには何度か切符を切られたこともあった。そんなときは、「たまたま運が悪かっただけだった」と自分を納得させた。
 運転が楽しいこともあったが、60歳を過ぎた辺りからは、かみさんとふたりで出かけるときは、キーを渡してハンドルを預けることが常態になった。運転しなくなるとさらに技術が低下して、運転がものすごく億劫になった。

 とはいえ、免許証を失うことには、二重の意味で恐怖を感じていた。まずは、免許証は身分証明書である。社会的に便利な道具である。それを放棄することは、世の中の高齢者とっては、ある種の存在証明を失くすことでもある。そんなわけで今回も、74歳の誕生日前に免許を更新をすることにした。
 申請の準備のために、近くの京成ドライビングスクールで、「運転技術の実習(テスト)」を伴なう高齢者免許講習を受講することにした。いや、この通過儀式が終わらないと、国は免許の更新を許してくれない。70歳過ぎたら全員が受けるべき必修科目である。
 無事に「運転技能証明書」をもらい、昨日、勇んで本所警察署に出かけた。ご存知のように、免許の更新は、誕生日の前後1か月の間である。わたしは、これまでも誕生日前に更新手続きをしてきている。
 
 同級生に比べると、やや遅めの免許取得だった。大学院に進学した直後の23歳の夏に、平井の自動車教習所に通った。実技試験には合格できたが、ペーパーテストでは一度、ドジっている。そういえば、留学時に米国の「カリフォルニア・ドライバーズ・ライセンス」を取得する時にも、ペーパーテストは一度ではパスできなかった。
 かみさんは一発で合格していたから、ちょっとしゃくだった。わたしが不合格になったのは、舐めてかかったからだと思う。学生時代から、学力試験や面接試験には超がつくくらい強かった。一度も不合格になったことがなかったからだ。わたしの最大の欠点は、簡単なテストなどを舐めてかかることだった。
 ちなみに、いまやハンドルを握ることがほとんどないから、この5年間は無事故・無違反である。結果として、優良運転手で免許証は「ゴールド」である。74歳の次の免許更新は、3年ごとになるが、それまでも間違いなく優良運転手でいられるだろう。
 
 免許更新に訪れた本所警察署は、東京スカイツリー駅(押上)から歩いて6~7分のところにある。昨日は、その2階で免許更新の手続きをすることになった。嬉しいことに!、高齢者だけが若者とは別の列に並ぶことになる。年寄り用のエクスプレスラインが用意されているのだった。
 高齢者を特別扱いする理由は、高齢者講習の受講証明書など、わたしたちにはたくさんの面倒な書類が要求されるからだ。しかも、わたしのように不注意な老人は、書類を忘れてきたり、その場で見つからなかったりで面倒なことになる。事務員さんたちが対応で困ることになるので、わたしたちを特別扱いするのだろう。
 82歳の男性が、わたしの前の椅子に座っていた。こういう場面で、わたしはいつも話しかけられることになる。見た目は若いが、75歳以上だと「認知症の試験」もあるらしかった。わたしが74歳だと言ったら、「認知症の試験は記憶力がないとむずかしい」とわたしに教えてくれた。事前知識としては貴重な情報だ。
 
 そういえば、葛飾区から毎年のように、認知症の「診断テスト」の案内が来ていることを思い出した。家族からも、「わんさんは(認知機能が)かなり危なさそうなので、そろそろ受診してみては?」と言われている。
 3年後に向けて、来年からは「認知症の受診案内」の封筒を、部屋の屑かごに捨てないようにしよう。受診のために病院に行ってみようかと思っている。本番前の練習のためだ。やらないより、受診しておいた方が安心できるだろう。
 わたしは、この手の診断を受けるとき、プレッシャーにすこぶる弱い。免許更新の事前準備だと思って、お医者さんに行ってみるつもりである。とりあえず今回も、身分証明書は確保できた。やれやれである。
 
 

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