【柴又日誌】#33 チンアナゴの抱き枕

 神戸の孫娘が、明後日に満8歳の誕生日を迎える。週末に仕事で神戸に行くので、誕生日プレゼントを探していたが、結局はチンアナゴの抱き枕にすることにした。少し前から自分も欲しいと思っていたので、ネットでチェックしていた。すみだ水族館のショップに置いてあることは知っている。

 

 本日、仕事のノリがいまいち。走るにはやや時間的に早い。そこで、意を決して、すみだ水族館まで電車で出かけることにした。最寄りの京成高砂駅から、水族館があるスカイツリー駅(押上駅)までは急行で二駅だ。電車に乗っている時間は10分ほど。

 コロナ禍はなんのそので、休日の上りの京成電車は混雑している。予想通りで、スカイツリー駅も大混雑。4階の外の広場は、家族連れでにぎわっている。ソラマチは開業から10年(?)。最近になって人気が一段落したのか、インバウンドや地方からの来街者が減ったのが原因なのか、今月からはスカイツリーの入場料が値下げされている。

 東京の東地区で唯一、近場でショッピングモールや水族館がある町がソラマチだ。東京下町の人たちにはアクセスのよい場所になっている。東武と京成の二系統の電車が走っているのも、ソラマチがショッピングや娯楽施設として楽しめる理由である。いまやソラマチ(東京スカイツリー)は、葛飾区や江東区、台東区などの下町住民の憩いの場所になっている。

 

 わたしは11時半に押上駅に到着。エレベーターで4Fまで上がり、すみだ水族館まで移動。年間パスポートを持っているので、チケットを買うために並ばなくよろしい。年パスのご利益をいままで感じたことがなかったが、今日は3度目の来場になる。これで完全に元が取れた。

 チンアナゴの水槽の前で写真を1.2枚。抱き枕を買った後で、本物とぬいぐるみの写真を一緒に神戸に送るためだ。チンアナゴの大きな抱き枕は完売で、展示販売はオレンジ色のニシキアナゴのみ(4千円弱)。白色のチンアナゴ(2千円)は、小さな抱き枕のみの販売。

 二匹をレジまでもっていくと、年間パスポートのお客様は、5%引きになると知らされる。これまで、年パスで得したことがなかったが、はじめてのお得な経験。二匹で5千円也。カードにしようと思っていたが、現金で購入することにした(実際はスイカで)。

 

 12時には、すみだ水族館のショップを出て、帰りの電車に乗った。ショップの店員さんからは、「レジ袋はいりますか?有料になりますが」と言われたので、「このまま持ち帰ります」と答えた。いくらかはわからないが、お金がもったいない。電車の中を、抱き枕を抱えて歩くことに多少の抵抗はあった。しかし、まあ15分の我慢だ。気にしないことにしよう。

 そうは思っても、大きなチンアナゴの抱き枕を、裸のままで抱えた変な老人は目立っている。エレベーターに乗り込んできた子供たちに、じろじろと見られた。もちろんわたしではなく、小さな子供たちが見ているのは、ニシキアナゴとチンアナゴのほうだ。

 お母さんたちは、なんとなくだが、わたしからは目をそらそうとしているように見えた。不思議な買い物をしている老人だと思っているにちがいない。

 

 帰りの電車は、がらがらに空いていた。二匹のぬいぐるみを、電車の空いている座席に座らせてみた。その様子を写真に撮って、家族ラインにアップしたら、目の前に外国人(スペイン系)のカップルが座っている。日本人とちがって、彼らは普通の表情でチンアナゴたちを見ている。お国柄なのだろう。

 今日はすこぶる天気がよろしい。外を見ていると、秋の空が高くなっている。電車が中川の鉄橋を渡っていく。いつもわたしが走っている道路が見える。午後には、水元公園まで走りに行こうか。次男の家族は、東京西地区の御嶽山に登っているはずだ。朝早に出て行ったが、午前中の早い時間は、東京下町では雨が降っていた。

 登山の途中で孫たちが雨に濡れないとよいが。風邪を引くことはないだろうが。いまは外は爽やかで晴天。無事に一日が過ぎていきますように。