20年来の友⼈で、監視カメラの会社(本社︓東京都⽴川市)を起業して⼤忙しの社⻑さんがいる。岩崎秀樹さんと言う方で、定年後に神⽥小川町に構えたオフィス(お隣がBar Blitz)のオーナーさんである。松山市の出身で、若いころは百科事典の訪問販売で優秀な成績を残した“腕っこき”のセールスマンでもある。
岩崎さんとは、数年前に亡くなられた「ブックオフ」の坂本孝社⻑からの紹介で知り合いになった。監視カメラ以外にも手広く事業を展開しているので、最近では経営者仲間から相談を持ち掛けられることもあるらしい。そんな岩崎さんから、一週間前に突然、携帯に問い合わせのメールをもらうことがあった。
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「おはようございます。小川先生に質問があります。わたしが商工会議所の「事業承継塾」に参加していて、そこは承継される側、いわゆる次の社⻑の集まりです。次の会で、引き続き前の会社の方2名のお悩み相談のような機会があります。2代目社⻑が失敗する要素は、どんなことが多いのでしょうか。なにに気をつければよいのか、それとも宿命なのか。小川先生のご意⾒をお伺いしたいです」(岩崎さん)。
以下では、わたしの回答をそのままの形で紹介する。後継社⻑の成功と失敗は、よくあるテーマである。しかも岩崎さんは、わたしが『社⻑はつらいよ』(光文社新書)を執筆していることを知っている。
劇団四季の吉⽥智誉樹社⻑のインタビューでは、あざみ野にある本部まで取材に同伴していただいた。吉⽥さんはサラリーマン経営者で、創業者の浅利慶太氏の後継社⻑である。ファミリーではないが、成功した事業承継である。
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「岩崎さん。こんにちは。二代目経営者の失敗ですが、いくつか要因はあると思います。逆にうまくいったケースを知っていますので、逆の場合から考えてみたいと思います。
1.もっとも⼤きい要因は、先代との関係性かと思います。成功する事業承継で例外がないのが,親が⾒事に子供に仕事を任せて、⼝を一切出さないこと(花業界でうまくいったケースは、ミヨシグループの三好正一さん親子の事例)。
2.それと関連して、なるべく早く子供に事業を渡してしまうこと。この2点に尽きます。失敗するケースは、後継者が男⼥に関わらず共通しています(⼤塚家具の事例が有名)。
3.(逆の場合が)親が子供を甘やかしてしまうこと。そして,子供が努⼒して学ばない場合は、事業承継の失敗で共通しています。常識的な結論ですが、これがなかなかできないのです。可愛い子には旅をさせましょう︕
4.例えば、カインズの⼟屋裕雅会⻑などがそうですが、良きメンター(ペガサスクラブの渥美俊一オーナー)に恵まれることが、事業の承継がうまくいくポイントです。どちらにしても,親と子は微妙な関係です。なお、
5.優秀な後継者に育つケースでは、⽗親より⺟親の役割が⼤きいです。日本は、基本的に⺟系社会だからでしょうか︖
お時間がある時にお電話をください。解説します。小川より」
とはいえ、うまくいく事業承継には、絶対的な正解がない。どの業界でも、永遠のテーマであることはまちがいない。
【巻頭言】「事業承継の法則」『JFMAニュース』2026年4月20日号
連載(JFMAニュース)
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