母の日が終わって、花業界で働く人たちはほっと胸を撫でおろしていることと思う。景気が回復して、今年は市況がそれほどよかったわけではないが、販売には薄日が差してきているからだ。
毎年、「今年の母の日は、どうだったでしょうか?」と、全国各地の花業界の人たちから問い合わせを受ける。翌々日くらいから、電話で専門店チェーンのトップや量販店の花担当者に声をかける。もちろん携帯電話からである。デスクリサーチだから、とてもではないが完全なデータというわけにはいかない。わたしの勝手な推測だったり、かなりアバウトな数値にはなるのだが、手がかりがないよりはましだろうと売上推計値を公表している。
個人的なリサーチ結果(物日の売上調査)は、今年で15年になった。JFMAを発足して以来、いまや日課のようになっている。専門店チェーンA(+105%)、量販店チェーンX(+130%)、花店H(+100%)のように、会社名は匿名のイニシャル入りで、既存店対前年比を公開している。よくよく見れば、その販売数値がどのチェーンのものかはだいたいは見当がついてしまうかもしれない。JFMAの有力な会員で、わたしの個人的な情報管理下にあるチャネルから入手できるデータだからだ。
さて、今年に関して、個人ブログから貼り付けた数値(2015年5月12日配信)を以下で紹介する。店(チェーン)ごとの売上高の昨年度対比を「%」で示してある。調査対象期間は、店舗によって異なる。およそ、連休中~10日だが、一部は推測値も含まれている。
①花専門店チェーン:A店104%、B店105%(推定値)、C店108%(新店を1店含む)、D店100%、②量販店(花売場、インショップ):H店107%、I店120%、J店110%、③専門店:X店135%、Y店110%(推定)。
以下は、今年の「母の日」に関するわたしのコメントである。情報をいただいた担当者のコメントを含んでいる。
<傾向Ⅰ>:ネット専業の店(あるいは、実店舗のネット部門)は、一般的に売り上げが良かったと聞いている(ネット専業店から)。これは、この後の<傾向Ⅱ>とも関連している。すでに業績が充分に高い(物日の日販が200万円を超える)店舗では、店舗の処理能力が限界に達している(A店担当者)。したがって、営業の中心は、カタログやネットでの事前予約に向いている。
<傾向Ⅱ>:同じチェーンでも、規模の大きな店舗の伸びは小さい。開店してから2~3年までの新店の売上が良かった(C店:経営者)。顧客(市場)が新しくなったことと、従業員が物日の業務に習熟してきた効果だろう。
<傾向Ⅲ>:母の日後も不在で受け取れていない宅配便がたくさんある。宅急便の受け取りと物流の問題点は、D店の担当者から伺った話でした。「送り主と受け取り主の住所が同じという伝票がたくさんあることを見つけて、花店としては危機感をもった」。店頭で買わないと、母の日以外の購買機会を失うことになりかねないという心配。けっこう深刻なのは、「3日ぐらいの不在で枯れるような花はいかがなものか?というクレームもありました」(D店)。
毎年、物日に電話調査を実施してきたが、そろそろ継続調査としてデータを公表すべきタイミングになったのではないだろうか?そのように感じた母の日だった。ちみに、わたし個人は、例年通りに秋田の花屋さんから母親に花束を送った。JFTD(花キューピット)の仕組みは、ネット時代になってもやはり便利ではある。