【JFMAニュース・巻頭言】「若い女性たちが花を買わなくなったのはなぜか?」(2014年7月号)

 JFMAは2008年から毎年、『花と野菜の消費行動調査』を実施している。調査をはじめてから今年で7年目になる。同じ質問項目を用いて長期間、同じ形式の調査を続けていることには、明らかなメリットがある。性別・年齢別・用途別に、花の消費について長期的なトレンドがわかるからである。


総務庁の家計調査に比べると、全体のサンプル数(N=520)が少ないので、地域別の動向がわからないなどの欠点ではあるが、カジュアルで速報性があるネット調査になっている。協会として財政がきびしい時代には、お金がないので途中で調査を中断しようと思ったこともあった。「毎年、結果はほとんど同じだからね」という意見もあったのだが、我慢をして調査を続けてきたことでわかることもある。そう信じて、この調査を継続してきた。

 花の消費調査から、最近になって(2011年ごろから)気になる傾向を発見している。全体的に花の消費が落ち込んでいることは世間でもよく知られていることではある。その中でも、若い女性(特に20代~30代)の花消費が落ち込んでいることが、調査から顕著になってきている。花業界としても、これはあまりうれしいことではない。会員の皆さんと一緒に、その理由を考えてみたい。また、その対策についても議論してみたいと思う。

 まず、毎年発表されているのだが、時系列で調査データを要約してみる。2008年から2013年までの用途別の購入率(年一回以上花を購入した割合(%))をデータで示すと(下記の表)「自宅用」の落ち込みもけっこう大きいのだが、花の消費が減少している原因は、「プレゼント用」であることがわかる。さらに犯人を捜すと、それは、女性たちが花を贈らなくなっているからだとわかる。調査以来はじめて、2013年には、ギフト用に花を購入する男性のほうが女性を上回ってしまった(男性34.1%>女性34.0%)。少なくとも年一回、プレゼント用に花を贈る人の割合は、2009年には、女性のほうが10%程度、男子を上回っていた(女性58.7%>男性47.6%)。したがって、この7年間の花消費の落ち込みは、若い女性の「花離れ」によるものだとわかる。次に、その理由を考えてみたい。

 最初に思いつくのは、経済的な理由である。若い子たちの収入は増えていない。しかし、スマホやファッション、ダイエットなどへの支出が減少していないことはデータから明らかになっている。スイーツなども彼女たちには必須のアイテムである。だとすると、不要不急と思われる「花」への支出は真っ先に削減対象になる。

 次に、今の若い女性たちが置かれている幼児期の生活環境である。都市生活者が増えているので、周りに花や緑に囲まれて過ごしているわけではなさそうだ。小中学校時代には、園芸部や華道部があったかどうか?おそらくは母親の世代ほどには、生け花などは盛んではなかっただろう。幼少期の「花緑体験」がその後の花消費と深い関係があることはよく知られている事実である。

花の用途(複数回答)   2013年 2012年 2011年 2010年 2009年 2008年
プレゼント・贈答用に購入 34.0   36.9  43.7  45.8  54.2   51.7
自宅用に購入       30.2   25  31.5  33.8  35.2   36.3
この一年は購入していない 36.0   31.9  32.3  26.5  18.5   30.6