【JFMAニュース・巻頭言】「JFMAの役割は、花業界の孵化器(インキュベーション)であり続けること」(2014年8月号)

 JFMAの理事会で毎年恒例となっている「フリーディスカッション」が、8月12日開催された。この形式の会合は、JFMAの個々の事業を振り返り、花業界の未来に備えるためである。5~6年ほど前から、とくにはテーマを絞らず、わりに長い時間を討論に充てるので、ブレーンストーミング的な意見交換の場にもなっている。ここでの議論をきっかけに、5年前に「フラワーバレンタイン」の運動が始まったことは記憶に新しい。


この日も自然な流れでそうなったのだが、今年の討論テーマは、「JFMAの役割について」だった。7月には、花業界のプロモーション組織として、「花の国日本協議会」が発足している。そして10月には、スタートから10年間関わってきた「IFEX」(国際フラワーEXPO)の共同主催者からは降りることになる。今後は、後援組織の側に回ることになる。このふたつの出来事は、JFMAが重要なコア事業を他の組織にゆだねる決断を下したことを意味している。創設から15年で、JFMAが「ひとつの役割を終えた」ともいえるだろう。もし将来的にも組織としてJFMAを存続させるのであれば、新しい事業を構想すべきなのかもしれない。それがひとつの考え方である。

 そうした会の雰囲気を反映してなのか、守重副会長からは開口一番に、「JFMAの役割(=存在意義)の今後をテーマにあげてください」というメッセージを託されたことが紹介された。花のマーケティング組織として出発したのだから、「花の国日本協議会」の発足により、JFMAの重要な機能が代替されることになる。その後、参加された理事全員から意見をいただいたのだが、ある理事から出た感想が会長としての私の気持ちを代弁していたように思う。「IFEX」も「フラワーバレンタイン」も、「日持ち保証」も「バケット輸送」も「MPS」に至るまで、すべてJFMAが生み出した事業である。だから、自らが生み出した事業で中心的な役割を終えることは、ある意味では望ましいことなのではないのか。新たにその役割を担ってくれる組織が生まれるわけだから、創業時の精神は継続されることになる。

 ということは、JFMAは花業界の「孵化器」(インキュベーション)の役割を継続していけばよいという結論になる。「もし新しいアイデアが出せない場合、組織としてはどうなるのかしら?」「新しい事業が創造できないとなれば、資金的にも存続がむずかしくなるのでは?」という声が聞こえてきそうだ。だが、その心配はいらないだろう。

 当日の理事会で出た課題を列挙してみよう。「花の海外輸出」「物流インフラの整備」「植物取引の新しい形(JA改革)」「産業の垂直統合化」「若手中堅の人材教育」「花業界トップ向けセミナーの開催」「東京花博の開催」「国際ガーデンショーの企画誘致」などなど。新種の植物が世の中で生まれなくなる事態が起こらないのと同様に、JFMAとしてやるべきことがなくなることなど、少なくとも10年先までは起こらないだろう。