2026年のJFMA新春セミナーのテーマは、トレンドだった。事務局が設定したテーマをより詳しく記述すると、「花き業界のこれからをつくる 新しいトレンドの⽣まれ⽅・育て⽅〜種苗の動向、草花・枝物・切り花のトレンド~」となる。
基調講演者の藤原雅志氏(ハクサン常務取締役)に⽤意していただいたパワポ資料の最後のスライドには、期せずして3つの流⾏(①ファド、②トレンド、③カルチャー)が示されていた。そして、コーディネーター役を務めたわたしが、パネルディスカッションが始まる前に会場のホワイトボードに描いた図が、偶然にも3つのタイプのトレンドだった。すなわち、①⼀時的流⾏(Fad)、②ディフュージョンカーブ(S字型の普及曲線)、そして、③循環型のトレンドの3つの類型である。
この中の3番目の「循環型のトレンド」とは、同じようなタイプの流⾏が繰り返して起こることを指している。具体的な事例を、内藤育子氏(大田花き)が講演などでしばしば取り上げている。内藤氏によると、フラワーデザインの世界では、色彩(明と暗)や花姿(直線と曲線)、花の輪(大・小)など、⼀定の期間をおいて再起する流⾏が認められている。
ところで、トレンドには、社会経済的な環境変化を反映して、「⾃然発⽣的に起こる場合」と、政策的なイベントなどが刺激要因となって、「⼈為的に引き起こされる場合」がある。後者の典型的な事例が、1990年に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会」である。バブル崩壊後ではあったが、5年後の1995年にわが国の切り花の消費がピークを迎えている。また、その後にガーデニングブームが起こって、花壇苗の市場が1997年に頂点を極めた。
大阪花博と並⾏して、花きの流通システムにも、大きな変化が起こっている。大阪花博が開催される前年(1989年)に、現在でも花きの取扱⾼が最大規模の大田市場(大田花きとFAJ)が誕⽣し
た。そこから、1998年の世田谷市場(世田谷花きと砧花き)の開設まで、約20年間をかけて全国の
花市場が統合されていった。およそ200社あった花の卸会社は、約100社に統合されて現在に至っている。
さて、来年の2027年3⽉から9⽉まで会期で、37年振りに横浜で花博(A1クラス)が開催される。正式名称は、「2027年国際園芸博覧会」。⼀説によると、循環型のトレンドは35年の周期で起きていると聞いたことがある。経済学者のコンドラチェフが唱えた⻑期景気循環(藤原氏の「カルチャー(⽂化)」の定着期間)が約50年で、内藤氏が紹介しているデザインの流⾏の周期が、約28年(=7年×4)である。2度の花博開催の間隔(37年)は、コンドラチェフ周期と内藤氏のデザインの流⾏サイクルの中間値になっている。
最後に、筆者からの読者の皆さんへの問い掛けである。首都圏で初めて開催される2027年国際園
芸博覧会は、1990年の大阪花博のときのように、「花業界の再編成を加速すること」になるだろうか︖ 37年振りで開催される横浜花博は、「花と緑の消費を拡大すること」に貢献できるだろうか︖ そして、1年先に予定されている横浜花博を盛り上げるために、「わたしたち花の業界⼈に何かできること」はあるのだろうか︖


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