2017年7月、月刊誌『新潮45』に「社長の『履歴』大研究」という論考を発表した。そして、いつの日にか、本書のアイデアを寅さん映画に模して、『社長はつらいよ』というタイトルで刊行する心づもりでいた。ところが、元衆議院議員の杉田水脈氏が、同誌に発表した論考「国連のデタラメ勧告を真に受けるな」が舌禍事件となり、『新潮45』が休刊に追い込まれた(実質は廃刊)。
一旦は出版を諦めかけていたものの、わたし自身はその後もじっと刊行のタイミングを待っていた。昨年の夏、有機農家の久松達央氏(茨城県土浦市)の仲介で、光文社の三宅貴久編集局長と出会うことになった。『新潮45』の論考を読んでくれた三宅さんと出版で意気投合。というわけで、わたしは『社長はつらいよ』の出版企画に再挑戦することになった。
一番の課題は、「社長の『履歴』大研究」で分類した5つのタイプの社長さんたちを見つけてくることだった。社長業という自身のプライベートが白日の下にさらされる仕事ぶりを、インタビューさせてもらえることが条件になる。
ところで、5つの類型とは、①創業者社長、②2代目社長(後継経営者)、③サラリーマン社長、④プロ経営者、⑤娘婿社長である。まずは、友人の社長たちをリスト化して、累計約50人を候補者に選んだ。ところが、タイトルに「つらい社長業」という言葉が入っているせいなのか、メールや手紙でインタビューを依頼しても、友人・知人の皆さんは「出演」に二の足を踏んでなかなか応じてくれない。とうとう秋口から構想していた企画が、年を越してしまった。
仕切り直しをしたのが、2026年の正月明け。親しい友人・知人たち数名に向けて、インタビューの打診を再開してみた。そして、先週からメールと電話で依頼した社長さんたちから許諾を得て、「出演者」が出そろうことになった。代表的な社長さんたちは、以下の通りになる(これが全員ではない)。
①創業者社長:井上英明氏(青山フラワーマーケット社長)、
②2代目社長:長澤猛臣氏(長沢ベルト工業社長)、
③サラリーマン社長:吉田智誉喜社長(劇団四季)、
④プロ経営者:玉塚元一氏(元ユニクロ、ローソン社長、現ロッテ社長)、
⑤娘婿社長:鳥越淳司(相模屋食料社長、元雪印乳業営業マン)
ちなみに、ジャストアイデアで、同じ業界(豆腐業界)でタイプの異なる社長さんたちを比較してみたいと思った。そこで、お豆腐を扱っているユニークな会社の社長さんに登場してもらうことにした。相模屋食料の鳥越社長以外は、正式にはまだお二方から許諾をいただいていない。地方で、特徴のある豆腐屋ビジネスを展開している社長さんは、つぎの二人である。
1 平川大計社長(2代目経営者)
佐賀県の豆腐製造卸会社「佐嘉平川屋」の2代目。父親の豆腐店を継承後、嬉野温泉の特産品「温泉湯豆腐」の通信販売を始める。その後、豆腐単品のレストラン事業を、嬉野市と武雄市などではじめている。
*参考文献:平川大計(2025)『逆転の”最弱商材”、豆腐屋のブランディング』幻冬舎(ブログで、小川の書評あり)
2 渡辺一美社長(創業経営者)
埼玉県ときがわ町で、「とうふ工房わたなべ」を経営。豆腐の製造小売業、豆腐販売の単独店で日本一の売上。拙著『しまむらとヤオコー』(小学館、2011年)の取材で、ヤオコーの川野幸夫社長の紹介で知り合う。青山在来種の有機大豆を使用。こちらは、故人となられた日本のオーガニック農業の始祖、金子美登氏からの紹介であった。
なお、本書の序章は「社長の『履歴』大研究」(「社長はつらいよ」の原題)、第2章が「再生された下町のベルト工場」(長沢ベルト工業の事例、原稿は完成済み)である。
楽しい本になりそうだ。こうご期待を、、


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