(その114)「中国木材と能代木産連との提携」『北羽新報』(2026年3月30日)

 能代市から依頼された講演会の後、わたしたち二人の講演者を囲んで懇親会がありました。能代木産連(幹部会の役員)と中国木材(松浦工場長)、そしてわたしたち講師たちの懇談の場です。その翌日に、講演会を組織してくださった主催者のひとり、佐々木さんからわたしにメールが届きました。
 
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 「中国木材と能代木産連との提携」『北羽新報』(2026年3月30日)

 3月5日に、生まれ故郷で「木都能代への期待と木材産業の未来」というテーマの講演を行いました。大正時代末期から高度経済成長期にかけて、能代市は秋田杉の製材で栄えた町でした。ところがその後、地元の木材産業は長らく低迷が続いています。
 能代市の中核産業を再興するため、わたしは講演の中でつぎの2点を強調しました。
1.木材産業は外材の輸入で停滞してきたが、木材の国産回帰と住宅リニューアル市場の拡大で将来は決して暗くない。自信をもって、木材産業の復興に互いに協力してほしい。
2.国内最大手の「中国木材」が2022年に能代に進出してきた。国産材の製材と加工のために大きな工場を作ったことで、地元の木材産業を再興させるチャンスが到来している。
 
 能代市民会館の中ホールには、業界関係者を中心に市民の皆さんが90人ほど聴衆として集まってくださいました。講演会の後、関係者が近くのホテルに移動して懇親会を行いました。もう一人の講演者の箕輪富男局長(東北森林管理局)と一緒に、わたしも交流会に参加することになります。中国木材の能代工場長(松浦健次郎さん)も参加していました。
 宴会がはじまってすぐに、わたしは若手の木材関係者と松浦工場長にビールをついで回りました。中華風の丸テーブルを順番に回って、若手の業界人や木高研(秋田県立大学木材高度加工研究所)の先生たち、松浦工場長と立ち話をしました。松浦工場長と木材関係者を、何らかの形で結びつけたかったからでした。
 
 この手の講演会では、講師の話を聞くだけでその後に何かが起こることはめったにありません。ところが、翌日になって、主催者である能代木産連の事務局から、次のようなメールが届きました。「小川先生、早速に松浦工場長から連携に関する提案がありました。先生をお招きした成果が早速、出てきたと感じています。今後の推移については、改めてご報告させていただきます」。
 事務局の話では、工場長からの提案は次のようなものでした。「意見交換している中で、弊社(中国木材)が会員の皆様(木産連)の製品を輸出するのはどうかと提案させて頂きました。まずは木産連の方々で協議して頂き、興味が有る会社さんがいらっしゃれば、自社の製品をリストアップして頂けないでしょうか」。
 要するに、中国木材(能代工場)が自社製品を海外出荷する際、中国木材が木産連の製品を買い取って、中国木材の荷物と一緒に積み込んで輸出するというスキームです。まずは、中国木材の輸出担当者が、木産連の製品で輸出できそうなものを検討する機会を作るのが最初のステップになります。
 
 小さな提携の話がきっかけで、単なる雇用創出(市内で200名程度の新規雇用)や納税額の増加だけでなく、進出企業と地元企業との交流が始まる可能性があります。その先には、中国木材を産業のプラットフォームにして、地元企業(木産連の加盟企業)が新規事業の創出という、新しい展開からの利益を享受できる立場になります。
 能代市の木材産業が新しい局面を迎えるハブに、進出企業の中国木材が加わっていく。そうなれば、地元企業を巻き込んだ地域産業の復活が演出できるかもしれません。
 能代木産連では既に役員会へこの申し出を報告し、各会員に意向を確認中とのことでした。わたしの講演とその後の交流会のちょっとした配慮が、両者(中国木材と木産連)の将来にとって接着剤の役割を果たせたかもしれないと思うと、とても嬉しく思います。

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