「オーガニック・エコフラワーの可能性」『JFMAニュース』(2016年12月20日号)

 先月の18、19日、「第一回オーガニックライフスタイルEXPO」が、有楽町の国際フォーラムで開催された。


わたし自身は主催者ではないが、セミナーの企画や出展社の募集についてはかなり深く関与してきた。そのこともあって、リード・ジャパンと共催で2004年に東京ビッグサイトではじまったIFEXの初年度のことを懐かしく思い出していた。二日目が雨になったにもかかわらず、展示会は来場者数が約2万人に到達したという。12年前のIFEXの活気を彷彿とさせるスタートだった。ただし、国際フォーラムは賃料が日本一高いので、展示会事業としての収益性や屋外開催のマルシェの集客には課題が残ったようだ。

 当日、わたしはセミナー司会者としてEXPOに参加した。今年の夏に発足したNOAF(オーガニック・エコ農と食のネットワーク)が展示会を後援している関係で、二日間とも会場を回ってみた。どのブースにもたくさんの人が集まっていた。それだけでも、「オーガニック」に対する人々の関心が高いことがわかる。初日は、主として業界関係者が集まっていた。何とはなしに、「オーガニック同窓会」のような雰囲気だった。地方の農場や加工センター、小売りの現場を視察したときに会った友人・知人と、「いや、お久しぶりですね」と立ち止まることがしばしばだった。公式のデータはないが、開催二日目の土曜日には、オーガニックに関心を持つ一般のお客さんが、多数来場していたように見えた。
“Organic Life-Style Expo”の成功は、Organicのカテゴリーを、有機農産物とその加工食品に限定しなかったことに尽きるように思う。主役は、オーガニック農産物だが、通路のど真ん中を占拠していたのは、必ずしも有機食材ではない。オーガニック・コットンやオーガニック・コスメだった。その周辺のブースに群がっていたのは、若い女性たちである。
 来場者の性・年齢構成が、展示会場をずいぶんと華やかなものにしていた。ブースの全体規模は、国際フォーラムE館の約半分に過ぎない。来年度は2倍に規模を拡大する計画もあるらしいが、それでもIFEXのような圧倒的な規模感はない。こじんまりした規模だからこそ、展示会のテーマが絞れて、“アット・ホーム”な雰囲気が会場を覆っている。根底にあるのは、安全でスローな生活を志向する人々が増えていることだろう。

 オーガニック・コットンのブースが出展していた辺りで、「オーガニック・フラワー協会」のサインを発見した。たまたま会場で出会った友人(JFMA会員の古庄さん)が、協会の女性を知っていて紹介してくれた。最近は、無農薬でバラを生産して美容液やお菓子の香料として商品化する女性起業家が登場している。また、少し立派なレストランや和食店では、エディブルフラワーを盛り付ける店が増えている。ちなみに、2000年ごろ、米国で”Organic Flower”というネット企業が創業した。そのことを、友人のアンディ松井(カリフォルニア在住の億万長者)に話したら、「先生、あんなもんすぐに消えてしまいまっせ。わっはっは」とアンディは笑い飛ばしていた。しかし、Organic Flower社からは、その後もバレンタインやマザーズデーの案内メールが私の個人メールアドレスに届いている。事業が爆発的に伸びているとは思えないが、そこそこのビジネスにはなっているようだ。
 そう考えると、15年ほど遅れて、日本でもそろそろ「オーガニック・フラワー」や「エディブル・フラワー」の市場が立ち上がるのかもしれない。そう思える予兆を展示会でいくつか発見はできた。JFMAの活動の一部として、「オーガニック・エコ/エディブル・フラワー」に取り組んでみる価値があるのではないだろうか。