陰鬱な本だった。先週末から読みはじめたのだが、途中で何度も投げ出しそうになった。現在、第3章「1300年イベントという転換期」に差し掛かっている。読書が停止してしまう理由は二つだ。内容が死者の数や飢饉のオンパレードで陰惨なこと。二番目はデータの記述に由来する。
田家さんは典型的な学者と見える。厳密性を重んじるあまり、本筋とあまり関係のない数字や歴史年表を細部まで列挙してしまっている。気象変動と火山活動と農業生産に興味をもって、この書籍と対面している読者にとっては、とても読みにくいのだ。
編集者が、わたしの『マーケティング入門』を担当してくれた堀口さん(日本経済新聞書籍編集部長)なのにである。う~ん。残念。途中までなので、最終の読書感想は明日になる。
欠点を指摘してしまったが、半分ちょっとまで読み進んだところで、この本の優れている視点を紹介しておきたい。豊穣の時代に生きるわれわれ現代人に対して、この本は鋭い警鐘を鳴らしていることだ。古代以降の日本の歴史は、食料不足と飢餓と戦乱の1500年なのだと納得できる。
それを世界的な気象変動(黒点の活動、火山活動などに由来)が農業生産(飢饉)に与えてきたインパクトで解説している。その時の為政者の考えかたや施策によって、一般民衆(下層農民)の命が影響を受けていたことだ。
ここからは、わたしの憶測になる。おそらくは、第4章以降(第3章にも一部が)の記述に登場する農業の生産性向上と品種改良の歴史が、わたしたちの生活を一時的に豊かなものにしていれるのだろう。しかし、異常気象が襲ってくると、グリーン革命の成果はすぐにでも台無しなってしまう。
また、それへの備えを、わたしたちいまの人類は十分にできているのか? 違った方向に向かっていないのか? きっと筆者はそのように論じていくに違いない。
*この続きは、明日に、、、