先週末に、ユニクロの柳井さんから新刊本が送られてきた。日経の広告欄に書籍の紹介が出ていたから、ご存知の方もいらっしゃるだろう。めずらしく、政治についての本である。3.11以来、国のあり方についての発言が多いから、とくに驚くことはなかった。
文藝春秋社との間では、「『ユニクロ帝国、、』に関する出版差し止め訴訟」がいまだ係争中である。だから、注意しないと、雑誌メディアからバッシングを受ける可能性もある。
ファーストリテイリングは、世界中に多くの顧客を抱えている。経営者として、政治的な発言にはとりわけ、人一倍に注意を払わなければならない立場にある(そのことも本書には触れてある)。正義感の強い人だから、見た目とはちがって、熱くなりやすい性格のようだ(笑い)。
わたしの自宅に届いた書籍には、本人からの手紙が添えられていた。印刷してあるものだから、一般に公開してもかまわない性質の文章だろう。本のプロモーションにもなるだろうから、本ブログにそのままにアップすることにした。
書籍の内容そのものは、読者が本屋で購入して評価していただけると思う(簡易な「もくじ」を添付する)。
柳井さんの今度の本には、特別な意味のメッセージがこめられている。ソフトバンクの孫さんしかり、政治と経営は、もはや切り離して語ることができなくなってしまったようだ。
最近のメディアで、ご本人は、(ファーストリテイリングは、)中国進出の手を緩めるつもりはないと公言している。途中経過はどうであれ、定めた目標の旗を降ろすつもりはないだろう。
売上嵩5兆円(目標値)の小売業が、この先、中国を市場として除外して存在しようもない。それが、2020年になるのか、2030年になるのかわからないが。
章立てを紹介しておこう。ほぼ内容が推測できるだろう。
プロローグ 成長しなければ即死する
第一章 いまやアジアは「ゴールドラッシュ」
第二章 「資本主義精神」を忘れた日本人
第三章 政治家が国を滅ぼす日
第四章 あなたが変われば、未来も変わる
エピローグ 二〇三〇年・わたしが夢見る理想の日本
手紙の文面は、以下のように続いていた。
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小川孔輔 様
拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は格段のご高配を賜り、厚く御礼を申し上げます。
さてこの度、PHP研究所より「現実を視よ」を上梓いたしました。
昨今の閉塞感の漂う日本の状況には、私自身が強烈な危機感を感じており、
誇れる日本を取り戻すために、一人でも多くの人が、自ら現実を直視し、
考え抜き、行動を起こして欲しいという気持から筆を執った次第です。
あるべき未来のために、高い理想を胸に抱き、自分が当事者となって
その理想を実現するために行動を起こせば、必ず日本は変わると
信じております。
敬具
2012年9月吉日 株式会社ファーストリテイリング
代表取締役会長兼社長
柳井 正