東京株式市場は昨日、トランプ当選確実が報道されると、一挙に日経ダウが1000円安に。一夜明けて、対ドル円為替レートが105円前後に戻ると、今度は打って変わって「トランプ大統領に期待」とメディアの論調は豹変した。日経平均は現在、約1000円高だ。
自由が丘フラワーズの松村君から、「先生の予想、あたってしまいましたね」と昨夜はメールがあった。一昨夜(火曜日)のJFMAイブニングセミナーで、わたしが「トランプが勝つ確率のほうが高いよ」と予言していたからだった。
米国の世論調査の動向をよくみていれば、そして、そのときの論調を詳しく分析していれば、トランプの勝利確率はもともと50%はあったと考えてよかっただろうに。だから、予言が当たるのは、特別に不思議なことではない。
東京株式市場は暴落になったが、わたしは、持ち株については何もせずに静観していた。どうせ明日になれば皆、冷静になるに決まっている。株式市場は反転するだろうと思っていた。
ところで、なぜトランプの勝利が意外と映るかと言えば、日本のメディアの偏向が原因だと思うからだ。
明らかに、日本のマスメディアの情報源は、米国のリベラルな雑誌やアナリストの分析に多くを依存している。共和党の「米国・米国している論調」に、日本の自由主義的なメディアは耳を貸したがらないからだ。嫌いだからだ。でも、それが米国人なのだ。米国人男性の一般は、マッチョで知識人は好きではない。
それが本音のところなのだ。好き嫌いの問題ではない。現実である。その結果、日本のリベラルメディア群は、クリントン優勢の判断になってしまう。それは予想ではなく、「思想的な肩入れ」になってしまう。調査を公表するときは、客観的な予想ができない。日本のメディアは、今回も偏向報道だったと反省すべきだろう。
今朝がた、だから、為替も株もすぐに反転してしまった。トランプが大統領になろうが、クリントンが勝利しようが、おそらくは、米国のいまの政治傾向は変わりようがない。Brexitで英国がEUから離脱を決めたように、米国もかつてのモンロー主義に戻りかねないのだ。その傾向はこの先も変わらないだろう。
二回の投票行動(米・英)の根底にあるには、ごく一部の富裕層への富の偏在に対する報われない民の反乱である。ひそかな、しかし、熱を帯びた復讐である。政治的にこれまで無言だった層が反乱を起こしたのだ。反乱の中心は、本来的に民主党の基盤だった白人労働者階級である。
さて、日本政府はどのように対処するのだろうか?わたしは、意外にあまり大きな変化はないように思っている。なぜならば、英国のEUからの離脱で、そのトレンド(=反グローバリズム、反自由主義)はセットされてしまったと考えるからだ。米国の進路も、ほぼこの方向に進むのではないだろうか?