コンビニエンスストアで一輪の花を売る、(株)インパックの挑戦

 何度も挑戦を繰り返して、いまだ実現できていないことが花業界にはいくつかある。そのひとつが、コンビニで花を売ることである。母の日などは花が売れている。お墓や病院が近くにあるCVSでは、仏花や見舞い用の花束を取り扱っている。しかし、年間を通して洋花を売るとなると話は別である。



 15年ほど前に、あるCVSのチェーンが東京都心で花を販売しようとしたとがあった。本部の肝いりで始めたのだが、失敗に終わっている。ふつうの切り花や鉢物(ミニプランツ)を、ふつうの形で売ろうとしてもどうやらダメらしいのである。

 (株)インパック(守重社長)が、わずか1店舗の実験的な取り組みではあるが、すこし別のアプローチから、コンビニエンスストアで、切り花(洋花の一輪挿し)とその関連商品(香りに特徴がある石鹸やタオルなど)を販売しようとしている。昨日(5月11日)から、その実験が始まっている。
 販売される場所は、東京都内の某CVSの店舗。母の日なので、最初はカーネーションをレジ横で売ることになる。ただし、週明けの月曜日からは、一輪の花を「雑誌売り場」で、「特注の什器を使って」販売することになる。
 ここからは、守重社長がいただいた昨日のメールからの引用になる。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 (前略)
 いくつか目的があります。
 場所は従来の雑誌売場です。ここの一棚を成人雑誌から「花の棚」へ変更することで雑誌の「売上を越えられるか」更に「女性客」を増やすことが可能かどうか、と言った重要な使命も帯びています。

ーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 コンビニは、若い男性客が主体である。若い女性が来ないわけではないが、極端なことを言えば、雑誌売り場の左端(成人雑誌コーナー)は、女性客が寄りつけない場所である。
 そこを逆手にとって、「売り方を工夫しながら、女性客を呼び込める店舗にしてみたい」(守重社長)と考えたのである。日本のコンビニに、新たな「(花)消費文化」を作ろうとしていることになる。
 この試みは、まだ始まったばかりである。その成否はわからないが、従来のCVSでの花販売の挑戦とは、ターゲット(高齢者や主婦)とオケージョン(お墓詣り、病気見舞い)が異なっている。そして、販売する商品の形態もちがっている。
 訴求しようとしているのは、従来から商品に対するニーズではない。若い女性に対して、日常使いの切り花やミニプランツ、そしてアロマを訴求した生活雑貨を販売しようとしているのである。コンビニにとっては、客層が変わるものなのかどうかを知ることができる。お客の側からすると、コンビニで今までなかったニーズ(ウォンツ)が満たされることになる。