「7連続CSナンバーワンの秘密」『スターフライヤー機内誌』(2015年12月)

 『スターフライヤー機内誌』(11月末から順次機内配布)に、「7連続CSナンバーワンの秘密」を書かせていただきました。国内長距離輸送部門で、SFJは7年連続でCSナンバーワンの栄誉に輝いています。その満足度の高さを紐解いてみています。



「CSReport:7連続CSナンバーワンの秘密」
 『スターフライヤー機内誌』2015年12月号
 法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科教授
 小川 孔輔 氏

リード文: 現場スタッフからお客様へ。C S に対する想いや取り組みをお伝えします。
安全性を第一に、快適性、定時性も考慮にいれて日々整備の仕事をしています。出発間際の機体に不具合が見つかった時は緊張が走りますが、プレッシャーに負けず冷静に判断しチームワークで対処します。お客様の大切な出会いに遅れないよう最善を尽くします。

 日本版顧客満足度調査(JCSI)の調査開始から今年で7回目になる。年一回、業種別に調査結果が公表されているが、7年連続してCSナンバーワンの企業(ブランド)はそれほど多くはない。スターフライヤー(国内長距離輸送)以外では、例えば、帝国ホテル(シティホテル)、ヤマト運輸(宅配便)など、わずか3社である。
 地方空港を拠点とする小さなエアラインが、全国規模で事業を展開している大企業に伍して、顧客満足度で7年連続一位を維持してきたことは奇跡に近い快挙である。しかも、スターフライヤーは、調査期間中に一度赤字を経験しているにもかかわらず(現在は、業績は回復している)、競合のエアラインに一度も〝CSナンバーワン〞の地位を明け渡すことがなかった。しかも、2015年度の調査では、CSスコア( 77・1点)の比較で他社をさらに引き離している。それはなぜなのだろうか?
 ひとつは、ビジネスモデルが強固だからである。スターフライヤーは、JALやANAのようなマスを対象としたエアラインではない。また、二社とは対極にある低価格訴求型のLCCでもない。ビジネス顧客に的を絞ることで、彼らにゆるぎない価値を提供している。オペレーション面での特徴は、羽田〜北九州・福岡・関空などに路線を絞っていることである。とくに、羽田〜北九州線(往復22便/日)は、早朝から深夜までの集中的な運航により、ビジネスマンにとって利便性が高い路線となっている。他社には見られないシートピッチの広さは、機内の快適性を高めることで顧客満足度の高さに大いに貢献しているはずである。
 ふたつ目の要因は、「企業ブランディング」の成功に求めることができる。コーポレートラーのブラックは、対照的なレッド(JAL)やブルー(ANA)と対比して色彩的に際立っている。黒い機体に、同じく黒い革張りのシート。機内で提供されるのは、ブラックチョコレートとタリーズのコーヒー。安全ビデオに登場していたマスコットキャラクターは、黒装束の忍者である。すべてが高級感のある黒色で統一されている。ブランドイメージに一貫性があることは、スターフライヤーを利用する顧客にとっては信頼感の証となる。
 三番目の成功要因は、地域との密接な関係である。スターフライヤーが拠点としている北九州市は、製造業の街である。TOTOや安川電機、トヨタ自動車や日産が大きな工場を構えている。スターフライヤーが新たに開業したことで、10年前に比べて、北九州空港は利用者が4倍に増えている(年間30万人↓125万人)。地域の産業への経済的な波及効果が大きいだけでなく、物流やビジネスマンの利便性向上に大きく貢献していることはまちがいない。将来を見据えると、スターフライヤーがアジア地区に路線を拡張することができれば、さらに地域のモノづくりに貢献できそうだ。

――――――――――――――――――――――――――

 日本版顧客満足度指数(JCSI=Japanese CustomerSatisfaction Index )は日本最大級の顧客満足度調査。統計的な収集方法による12万人以上の利用者からの回答をもとに、「顧客満足度」をはじめとする6つの指数により、各業界・各企業のサービスを多面的に評価・診断します。
顧客満足度7年連続1位という大変栄誉ある評価をいただき、今まで支えてくださったお客様に、社員一同、心より感謝いたします。今回は「顧客満足度」のほか、「知覚価値」「推奨意向」で第1位、「知覚品質」「顧客期待」「ロイヤルティ」の指数でも高評価を得ており、喜びと同時に身が引き締まる思いです。
 ここで改めて、これまで取り組んで参りましたスターフライヤー〝らしい〞サービスとおもてなしの事例をいくつかご紹介いたします。

 キャビンアテンダント
 大竹 侑子
 お客様との出会いは一期一会、”一便一会”。スターフライヤーの客室乗務員であることに誇りを持っているからこそ、お客様のご要望に応えられる喜びを感じられます。マニュアルにとらわれてばかりいては、スターフライヤーの特長であり本質でもある「過不足ないおもてなし」をお客様に感じて頂けません。「今、できることは何か」、これを一会の覚悟とし、心を込めてご提供しております。これからもより一層、誇りと責任を持ちながら、お客様やクルーとの一便一会を大切にフライトに励みたいと思います。
 フロントラインに立つ私たちは、一日に数百名のお客様とお会いしますが、お一人おひとりのお顔やご様子を伺い、ときにはお声掛けすることもございます。少しでも多くのお客様と“また”お会いしたいという想いのあらわれです。私共にできることは確かに限られております。しかし、お客様の期待に応えたいという志は社員一同変わりません。これか
らもお客様方との一層の深いお付き合いを楽しみにお待ちいたしております。

 グランドスタッフ
 吉田 愛
 安全運航の最終責任者として、安全かつ快適なフライトはもちろん、「お客様の目線」に合った空の旅を提供することを大切にしています。路線や時間帯、曜日などによってお客様のニーズは異なります。出発遅延や航空路混雑が発生した場合、揺れが続く場合など、飛行中その時々の状況によってもお客様の気持ちが変化します。操縦室に居ながらもそれらを察し、CAとも状況を共有して飛行計画や機内アナウンスに活かすことによって、「感動のあるフライト」をお客様に提供できるよう努めています。