「共同プロジェクト推進の裏側(個人的な体験)」 (IM研究科、イノマネ計画立案 第二回:10月1日)

 本日の授業(10月1日夕方~)で、標記の授業を急遽話すことにした。プロジェクトを進めるときの心構えである。読者の参考にもなると思い、授業前にレジュメをアップする。細かな説明は、時間があるときにしたい。

「共同プロジェクト推進の裏側(個人的な体験)」  2011年10月1日
                             IM研究科長 小川孔輔

1 過去の書籍作成とフィールドワークの経験から
(1)広い意味での「事業」
(大学、学会、花業界JFMA、OMR、政府系のJCSI開発など)
(2)研究プロジェクト(たとえば、科研費プロジェクト 3件)
(3)書籍(これまで、35冊)
(4)企業とのコラボレーション(共同プロジェクト、委託研究、FWなど)
(5)コンサルティング

2 企画・運営にとって大切なこと
(1)成功したプロジェクトの条件
 ・最初のコンタクトがスムースであること
 ・組む相手の「人柄」と「能力」が充分であること
 ・「資金」より「時間」に余裕があること

(2)運営上、気がつきにくい前提条件
 ・プロジェクトの「準備」が大切
 ⇒ (やりたい)「プロジェクト」は10年前に始まっている
 ・資源の「プール」を作っておくこと
   人、テーマ、資金、情報(ネットワーク)

(3)結局、プロジェクトを動かすとは、
 ・テーマに対して、「プール」の中から適当な人材を探してきて、
  それに、資金と組織を割り当てること。だから、
 ・自分が「尊敬」されないと、プロジェクトは起こせない
 ・他人から「尊敬」(尊重)されるとは、何を意味するか?

   ⇒ 「当てにされる」人物であること(困った時に助けてくれる)
     「律義で、誠実な」人物であること(約束はいつか守る)
     「一緒に仕事をして楽しい」人であること(利他性と気遣い、楽観的である)

2 もっとも大切なのは、見切りの付け方
(1)プロジェクトの実行資源とその扱い方
 ・資源が足りないときは、無理をしない(ストレス値を高めない)

   ⇒ 「挫折の心理学」 =
    失敗はいつも、神様があなたのために準備してくれている一幕
    わざわざ、次のステージに昇っていくための経験を準備してくれたのだ!
 ・朝令暮改の薦め、無節操な撤退の薦め(傷を深くしないため)
 ・たくさんの可能性から、優秀な少数を育てる(ブリーディングと同じ)
 

(2)自然淘汰のルールを内部化する
 ・「POINT OF NO RETURN」を見極める
 ・カットオフの原則(ルール)を決める
   たとえば、5年で売り上げがⅩ億円になりそうにもない事業は着手しない
   講演料やコンサル料が、1時間10万円以下の仕事は引き受けない(笑い)
   嶋口先生から教わったこと:「講演は断っても、原稿はすべて引き受ける」(なぜか?)

(3)人に対する接し方(仕事の組み方)
 ・気分が良く仕事ができない人とは、おいしそうでも絶対に「組まない」()
 ・「尊敬する相手」とプロジェクトを組むこと
 ・自分に足りない能力をもった人と組むべし(補完性の原則)
 ・相性が合わないと思ったら、早めに縁を切る。そこから逃げる(遁走論)。
 
 

3 プロジェクトの進め方
(1)着手段階
  ・「仲良しのチーム」であることを実感させる
  ・「成功の予感」を確信させる
  ・「自分たちで」リーダーを決めさせたように思わせる

(2)中間段階
  ・「小さな成功」の積み上げ(マイルストーンで✔)
  ・「競争原理」を働かせる(チーム内、チームの外)
  ・「飴」と「鞭」(ホワイトカード、イエローカード、レッドカード、良い子シール)
  ・「逃げ道」を作る(第二案、標準値の切り下げ、撤収の原理)

(3)最終段階
  ・「達成感」の付与(表彰制度)
  ・つぎの段階への飛躍を約束(ここで終わない、「再会」しよう!)