【新刊紹介・書評】菅家博昭(2026)『草花つくりで稼ぐコツ』農文協(★★★★+★)

書評・映画評

 福島県昭和村の花農家、菅家博昭さん(JFMA理事、65歳)から、発売前の『草花つくりで稼ぐコツ』が届いた。4月16日には、全国の大手書店にお目見えすることになる。
 菅家さんからは、事前に「もくじ」のファイルをいただいていた。『JFMAニュース』(2026年3月号)で対談をしたとき、その内容をブログに投稿してある。ニュースの記事を読んだ花業界の方たちは、すでに内容をご存知の方も多いだろう。
 昨日の夕方、早速、『草花つくりで稼ぐコツ』をざっと読ませていただいた。カラーで100頁ちょっとのコンパクトな本である。これから草花栽培を目指す花農家さんたちに向けて、栽培のコツを伝授した内容になっている。
 
 約40年間に渡って蓄積してきた菅家さんの草花栽培の経験は、「栽培・収穫のコツ」(第3章)に限るものではない。「出荷のコツ」(第4章)や「品目選びと商品化のコツ」(第5章)を含んでいる。言ってみれば、草花栽培に関する商品開発やマーケティングの技術のすべてを含んだ「包括的な技術」を取り扱ったものである。
 新刊本の出版をもって、菅家さんは草花栽培の指導者になった。いまの草花栽培の隆盛は、日本特有の現象ではない。グローバルなトレンドである。20世紀の後半から、アフリカや中南米に至るまで、いまや世界中に広がっている。菅家さんは、その中で日本国内で草花栽培の普及に携わるリーダー(現代の篤農家)になったのである。
 
 ふたたび、本書の内容に戻ってみる。草花類を栽培品目として導入する意味は、第1章「草花をつくって売る魅力」と第2章「私の草花経営」に書かれている。菅家さんの場合は、草花類を地域基幹品目のカスミソウと組み合わせている。この手法では、カスミソウ(50%)が土台で、草花類の割合が50%になっている。
 ところで、本書を読んで感じた疑問が一つだけあった。福島県の会津地方で成り立つ手法を、他の土地ではどのように応用できるのだろうか? 日本は南北に長い国土を持っている。暑さ寒さも降雨・降雪量も、四季の移ろいのタイミングも、場所により大いに違っている。そのなかで、自生する植物を含む草花の栽培品目をどのように選択すべきなのだろうか?
 繰り返して内容をよく読み込めば、菅家さんがその答えをすでに書いているのかもしれない。世界中で草花類が栽培されて、それが消費者に受け入れられているのだから。花農家ではないわたしだけが、そのように感じたのかもしれない。あるいは、菅家さんの主張にあるように、その答えは「栽培者の観察眼と創意工夫」にあるのかもしれない。

 本書は、農文協から刊行されてきた花栽培の書籍とは一線を画す、とてもユニークな内容になっている。家庭菜園で草花を栽培している一般の方にも、是非とも一読をお勧めしたい。
 なお、新刊本が出版に至るまでの経緯は、3月号の『JFMAニュース』の「トップインタビュー(前半)」に登場している。4月号は、その後半のパートになる。対談にはおもしろい話が掲載されている。
 
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 菅家さんの本の「もくじ」を再掲する。
  
菅家博昭(2026)『草花つくりで稼ぐコツ』(農文協)
 *もくじに並んでいる文字が美しい!!(小川の感想) 

<もくじ>
口絵……1
まえがき 野趣ある草花をつくる……8
切り花栽培の用語解説……12

第1章 草花をつくって売る魅力
世の中は草花に関心大……14
ラクに取り入れてラクに働ける……17
いろいろな品目と組み合わせ可能……19
▼コラム① 露地栽培は生育が不安定?……21
 
第2章 私の草花経営――地域基幹品目のカスミソウと組み合わせる
カスミソウが土台、草花で商品開発……24
一年の働き方……25
高単価で販売するための工夫……27
主な営利栽培品目・試作品目一覧……29
▼コラム② 認証制度は花を使う人のためにもなる……32
 
第3章 栽培・収穫のコツ――ラクにつくって野趣感を出す
野趣ある草花は均一でなくていい……34
試作  まずは5株から……35
播種・育苗  タネは極力自分で採る……38
定植~圃場管理  手間のほとんどは除草……40
防除  病害虫を気にしすぎない……41
収穫・調製  見た目は自然に、日持ちは長く……43
▼コラム③ 花を楽しむ文化ごと売る……46
 
第4章 出荷のコツ――高単価でも欲しい! と思わせる荷姿と情報発信
整えすぎないのが自然な荷姿…… 48
中身の日持ちで勝負する……49
アソート納品でいろんな品目を販売…… 51
情報をいち早く生花店に届ける……53
▼コラム④ 市場と生花店で、求める花が違うこともある……54
 
第5章 品目選びと商品化のコツ――手間がかからず、さまざまな姿で売れるものを選ぶ
これから売れていくものを見つけ出す……56
▼コラム⑤ 人々が「心で買う花」を探したい……61

野 趣ある在来草花  ワレモコウ……62
/チョウジソウ……64
/ススキ……66
/オミナエシ……68
/ヨウシュヤマゴボウ……70
/トウゴボウ……72
/オトコエシ……73

地 域の花壇の花  姫ヒマワリ(ヘリオプシス)……74
/ジニア(ヒャクニチソウ)……76
/カラフルニンジン/ノラニンジン……78
/ユーパトリウム(セイヨウフジバカマ)……80
/セダム(ベンケイソウ)……82
/アキレア(セイヨウノコギリソウ)……83

地 域で育てられてきた特産作物  オヤマボクチ……84
/タデアイ……86
購 入した種苗  ダウカス・キャロータ……88
/ユーカリ……92
/マリーゴールド……94
/一重のトルコギキョウ(リシアンサス)……96
カスミソウを複合品目の一つに  宿根カスミソウ……98

あとがきに代えて―― 古くて新しい提案……104

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