奥村家(かみさんの実家)の従妹会の面々が、東京理科大(金町キャンパス)の前にある広場に集まった。わたしが「広場」と呼んだ場所は、正式名称が「にいじゅくみらい公園」。理科大の金町校舎の前に広がる芝生公園で、周囲が1.5KMほどある。
集まった従妹会メンバー12人は、都内と千葉にばらばらに住んでいる。住んでいる町は、葛飾、練馬、千葉県船橋市など。自宅から電車や自家用車、自転車や徒歩など、思い思いの手段で集まってきた。みらい公園の広場には、桜の木が植わっている。散り際の桜を見ながら、芝生の上に観桜用のシートを敷いて、キャンプ道具のテントを設置した。
昨日、午前11時現在の気温は22℃。直射日光が強烈で、暖かいながらも風が強かった。緑の芝生の上に、ピンクの桜吹雪が風に舞っていた。
あーちゃん(清水家の長女、あさみさん)が、公園前の介護施設に入居しているばばちゃん(奥村純子さん、90歳)を、車いすに乗せて芝生公園まで連れてきた。
施設での面会は、13時半から約30分(の規則)。暖かくなった先月からは、面会時間を延長することが、暗黙うちに許されるようになった。桜が満開になった先週から、かみさんたち姉妹は、ばばちゃんのために、みらい公園の舗道を車いすで散歩してあげるようになっていた。
真継くん(小川家の次男)が、「土曜日に晴れたら、親戚一同でばばちゃんをお見舞いしよう」と奥村従弟LINEに投稿したらしい。桜の時期は終わりかけているが、理科大の芝生の周りの桜は、葉桜までは少しだけ時間がある。純子さんを囲んで、観桜会を企画することになった。
コロナの最中の3年前に、かみさんとわたしとで、広島在住の里村佳子さん(呉ベタニアホーム施設長、元大学院生)にばばちゃんのことを相談してみた。認知症が進行している母親に、このまま一人暮らしを続けさせるのはいいのかどうか?
里村さんのアドバイスもあって、姉妹は迷うことなく純子さんを介護施設に入れる決断を下した。葛飾区にある複数の施設が候補になったが、ばばちゃんは金町の施設に受け入れてもらうことになった。とても運が良かった。入居のタイミングと施設のロケーションがとてもよかったのである。
高砂のわが家から金町のみらい公園までは、ジャスト2KM。自転車で行ける場所にある(わたしはいつも、走って行くことにしている)。練馬に住んでいるかみさんの姉は、電車で1時間ほどでお見舞いに通うことができる。
今回の親戚一同による観桜会でも、それぞれ別れて住んでいる孫たち家族が、20分から40分程度で金町に集まることができた。そして、介護施設の前には、ひ孫たちが走り回れる広い芝生が広がっている。昨日も、凧上げや駆けっこで、思い思いに遊んでいた。
純子ばばの90歳の誕生日を祝ったときに、つくづく思うことがあった。
老後の時間がどのように過ぎていくのかは、その人が持っている運の良さにもよるのだと。認知症が進行して車いす生活にはなったけれど、純子さんは、家族に囲まれて生きる環境が獲得できている。芝生の上で孫やひ孫たちに囲まれて、昨日は満面の笑顔を取り戻すことができた。
子供たちが、年に何度かは入居している施設を訪問してくれている。10年ほど前に、連れ合いと3人姉妹のひとりは欠けてしまったけれど、わたしや中島君のような義理の息子たちが、こうして観桜会のメンバーになっている。
「またここに集まって、ばばちゃんを囲もうね」。実の娘たちふたりが、公園に集まった皆に号令をかけている。次男の真継を中心に、孫たちが芝生に広げた道具を撤収する準備を始めている。
午後14時半、ばばちゃんは介護施設に戻って行った。面会時間が大幅な時間超過になっていた。そして、5月の連休辺りにまた再会を約束して、従妹会のメンバーは散って行った。
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