【柴又日誌】#111:わんすけ先生が消防団員になって一番喜んでくれているのは、かみさんだろう。それはなぜか?

 東京都の準公務員、東京消防庁の団員になってはじめて、本格的な消防団の仕事に参加した。先週の木曜日の夜7時半から、公道上で可搬ポンプ車を用いた訓練がはじまったからだ。第11分団の6人チームが、葛飾区の予選会に出場することになった。消防操法全国大会の東京都予選のさらに前哨戦である。

 

 消防操法(可搬ポンプ車)の扱いについては、苦手とするeラーニングで、だいたいの様子は知っていた。6人チームの練習は、先月末から始まっているらしいが、公道に出ての練習訓練は、木曜日の4月13日がはじめてだった。

 夕方の7時半に、出場選手6人とサポート団員15人が現地に集合した。練習のスタートは8時からで、訓練の終了は9時半ごろだった。わたしたち男子のアシスト部隊と女性団員は、マーキングと交通整理を担当することになった。

 予選大会に出場する6人のうちの3人は、昨年5月に入団した新人である。ベテランの指揮者以外で重要な役回りは、筒先放水を担当する1番と2番の団員だ。1番の筒先担当は金井さんで、2番(1番の補助員)は岡君が担当する。このどちらも新人である。

 指揮者の号令で、5人が消防操法(可搬ポンプ車)を動かす動作を練習していた。実際にポンプ車で放水をする動作(今回の練習では水は出さない)を見るのはじめてだった。機敏な動作が要求される。予選会の採点表が、eラーニングのシステムの載っていたが、細かな採点をするようだ。

 

 出場者6人チームによる練習は、週3回。葛飾区高砂1丁目の環状7号線のガード下での訓練になる。可搬ポンプ車の収納庫近くで、約1か月半の練習は続くことになる。第11分団は、エンジン付きの消防自動車を持っていない。可搬ポンプ車の収納庫(手押し車)が、町内に分散している。シャッター付きで、自動車のガレージのような「収納小屋」だ。

 消防訓練のため、予選会に出場する団員は、仕事上で犠牲を払うことになる。たとえば、寿司ダイニングすすむの金井オーナーのケースがわかりやすい。月水木のそれぞれ1時間45分(8時~9時45分)の練習のため、7時には店を閉める必要がある。夕方2時間だけの時短営業になると、当たり前だが売上減になる。

 店舗から現場までの移動時間や、着替えの準備にも時間はかかる。最低1時間は必要だろう。さらに言えば、練習後の片付けと帰宅までの移動にも、30分はかかる。たいへんな労力と時間を、消防操法の練習に費やすことになる。

 わたしなどは、定年退職しているので比較的時間は自由である。しかし、金井さん(40歳)や岡くん(25歳)、甘利さん(年齢不詳)などは現役である。団員の犠牲の上で、消防団の活動が支えられている。それでも、甲子園のような全国操法大会があることで、団員の団結と技術の向上が図られているのだ。

 

 ところで、消防団員でもある区会議員のつたえりなさんが、小型消防車が収納できる施設の予算化に奮闘してくれている。町内のどこかに土地を借りることができれば、収納施設の建設費は東京都が出してくれるかもしれない。

 足りない分は、わたしが提案したアイデアで、クラウドファンディングで補うことになるだろう。第11分団の集会場は、いまは葛飾区の別の集会場のスペースを借りている。収納庫が持つことは、第11分団の悲願だったらしい。

 昨夜も、交通整理をするために、自転車で操法訓練に参加した。補助作業を引き受けたことは、わたしにとって福音である。なぜなら、午後7時半に自転車で移動するので、アルコールを控えねばならなかったからだ。おかげさまで、一か月ぶりで禁酒ができた。

 聞くところによれば、第11分団の消防車収納施設が完成すると、月に何度かは「消防車の運転担当」の役が回ってくる。そうなると、強制的にアルコールを抜くことができる。意志の弱いわたしのような団員には、吉報である。一番喜ぶのは、わが肝臓を心配してくれている、わたしのかみさんかもしれない。