本日は、朝8時45分から夕方4時まで、墨田区の本所消防署で「上級救急救命講習」を受講した。わたしのような新人の消防団員は、必ず受講しなければならない講習会である。火災や地震、洪水の際に、消防団員に必要とされる人命の救助(救命)に関する講習である。
墨田区の本所消防署の隣「防災館」の5F(体育館)で、救命講習を受講することになった。コロナ禍の時期は、人的接触ができないので、人数を絞って実施していたらしい。そのため、新年度の受講には長い待ち行列ができていた。わたしも、3月7日に電話で申し込んだのだが、2時間近く電話がつながらなかった。
実習があるので、いまでも人数は制限されている。わたしのクラスは、20人ちょうどだった。最初に、『上級救命講習テキスト』という教科書と、マウスピース(人工呼吸用)と三角巾(負傷した個所を保護するため)が配られた。座学だけでなく、救命のための心肺停止時の蘇生法やAEDの使用法などが実習に含まれている。
座学は問題なかったが、実習はとても緊張しながら受けることになった。手厚いのは、受講者20人に対して補助員が5人ほどついていることだった。わたしのように、不器用で三角巾の使い方や包帯の巻き方がよくわからない受講者にも、手取り足取りで教えてくれる。
午前の3時間、午後の4時間の受講が終わって、最後に確認のためのテストが実施された。〇✕式で全20問。わたしは、19問正解で95点。合格点は80点である。本日受講した20人全員が合格した。30%くらいは、全問正解だった。
興味深かったのは、こうした救急救命講習の有効性についてのデータだった。東京マラソンでは、15年間で11人が心肺停止になっている(講習中の情報)。しかし、救命ボランティアやドクターランナーなど、AEDの操作や蘇生法をマスターしている救急救命士がいることで、全員が社会復帰できている。死亡例は一件もない。
もしAEDがなければ、そして資格と技術をもったボランティアがいなければ、おそらく11人中10人は、亡くなっていた可能性がある。すばらしいことだと思った。救命ボランティアは、社会的も大きな役割を担っていたのだった。そして、資格が立派に機能している。
中規模以上のマラソン大会では、消防署から赤い消防車が出動している。わたし自身が消防団員になってから、ある日、会場に停めてある消防車の存在が気になるようになった。マラソン大会の会場には、例外なく消防車が止まっているからだった。うかつには、走り始めて25年になるが、そのことにこれまでは気が付かなかった。
自身が消防団員になって、その役割の大切さを知るようになった。マラソン大会には医師や看護師が必要なことは知っていたが、全国の消防署が消防車を派遣して救命活動に当たっていることの自覚がなかったからだ。本所消防署での講習は、それだけでも意味があったと思っている。
救命の知識や技術を習得したことは有意義なことだった。しかし、それ以上に重要な発見は、消防団の社会的な役割を知ることができたことである。本日受講した男女のほとんど(上級コースだから90%以上)が、都内のどこかの消防団の新人団員である。受講態度が、とてもまじめそうな若者だったからだ。
彼らに交じって、わたしは例によって圧倒的な年寄りだった。そのせいだろうが、アシスト役の消防署員OB?の方たちは、わたしの実習にとりわけ丁寧に対応してくださった。心肺蘇生やAEDの使用実習、三角巾の畳方などを見て、この年寄りは頼りなく見えたのだろうなあ(汗)。