この街に移ってきてから3年近くになる。年初に足腰を痛めてからの日課は、リハビリを兼ねて電動アシスト自転車に乗ることである。高砂駅前の自宅から、水元公園までは往復約12KMほど(時間にして15分)。公園奥の「カワセミの里」まで足を延ばせば、往復15KMにはなる。リハビリ中のランナーにとっては結構な距離と運動量である。
葛飾区の高砂・柴又地区に引っ越すことを決めた一番の理由が、江戸川土手から水元公園にかけてのコースが、マラソンの練習にうってつけだと思ったからだった。引っ越し先を決めるのに生活環境を重視するひとは多いだろうが、マラソンの練習コースが引っ越しの決め手になる輩はそうはいないだろう。でも、これはほんとのことである。
美しい景色の中を走っているうちに、水元公園の四季をインスタグラムに頻繁に投稿するようになった。今の季節だと、菖蒲(ショウブ)の花が満開になっている。少し前だと、大蓮池のスイレンが美しかった。桜が満開になる4月初旬も、自転車で走っていて気持ちがよい。
参考までに、インスタグラムにアップした水元公園の四季を紹介する。個人的な感想だが、昨年まで園内をジョギングしていたときより、自転車で動き回っている今のほうが、公園の風景が美しく感じられる。風景を観る目線が、120センチ(ジョギング時)から200センチ(サイクリング時)に微妙に上がったからだろう。
自転車のほうが、移動時のスピードが倍速になることも、視覚に微妙に影響を与えているようだ。わたしの足だと時速10KMだが、電動アシスト自転車のベロスターだと、最高時速が毎時24KMになる。ギアを最速に入れ替えると、風景が飛ぶように切り変わって見える。
水元公園は、戦後に開発された都立の市民公園である。東京都の北東部、葛飾区の北の外れにあって、江戸川の対岸は埼玉県三郷市になっている。葛飾区立石生まれのかみさんは、子供のころに父親(奥村正太郎)に連れられて夜釣りに行った記憶があるという。公園を整備する前のことらしく、もともと古利根川(江戸川)の氾濫を抑えるための沼地(河川敷)だったはずである。いまでも、園内で釣り糸を垂れているひとをよく見かける。
水元公園は、総面積96.3ヘクタール。都内最大規模の水郷公園だが、ほとんどの都民はその存在を知らない。広大な敷地の中に、多種多様な樹木が生い茂っている。圧巻はメタセコイアの森である。天に届くほどの高さ(>50M?)まで枝を伸ばしたメタセコイアの森の中で、静かに鳥の声を聴きながら森林浴を楽しむことができる。
わたしのインスタグラムを見た友人たちは、この場所を米国カリフォルニアのヨセミテ国立公園と錯覚してしまうらしい。あるいは、豪州シドニー郊外のセコイアの森(コアラの森)を連想させるようだ。水元公園のよいところは、それでいて、森の中の人口密度が充分に疎であることだろう。休日でも、森林浴をしているひとは数えられるほどだ。
水元公園に行くには、JR常磐線(地下鉄千代田線)の金町駅からバス便になる。金町駅で戸ヶ崎操車場バス停行きに乗り、「水元公園」で下車する。公共交通機関のアクセスが悪いことが、この森の静かさを担保している。皮肉なことだが、足の便が良くなってしまったら、森の静寂は瞬時に消えてしまうだろう。
<参考> 自転車を停めて撮影した、水元公園の森と水辺の四季(小川のインスタグラムから)。
水元公園の四季
①2021年6月12日、菖蒲の頃 https://www.instagram.com/p/CQAyTyugKwm/?utm_medium=copy_link
②2021年5月22日、睡蓮の沼 https://www.instagram.com/p/CPKkTYQAD1J/?utm_medium=copy_link
③2021年5月1日、ニセアカシアの散華 https://www.instagram.com/p/COUcQVKA1QJ/?utm_medium=copy_link
④2021年4月20日、水辺とメタセコイアの森 https://www.instagram.com/p/CN4ezrlAb3m/?utm_medium=copy_link ⑤2021年3月18日、桜の開花 https://www.instagram.com/p/CMjI9e9gd4v/?utm_medium=copy_link
⑥2021年2月20日、セコイアの森、冬 https://www.instagram.com/p/CLgV2qjAZgX/?utm_medium=copy_link
⑦2021年年11月20日、紅葉のころ https://www.instagram.com/p/CHaASZTAfKM/?utm_medium=copy_link