書評・映画評

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【書評】 老川慶喜(2017)『小林一三:都市型第三次産業の先駆的創造者』PHP研究所(★★★★)

「あとがき」のない著書である。「序(文)」も驚くほどシンプルだ。社史・経営史の書き手は、事実とデータをこんな風に淡々と並べて書くものなのだ。この手法は、商学・マーケティング分野の書き手には真似ができない。同じシリーズの『中内功』(石井淳蔵著...
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【書評】石坂智惠美(2016)『魚屋の基本』ダイヤモンド社(★★★★)

魚屋さんの本を読んだ。読み終えてから、あとがき(おわりに)に目を通したら、友人の石川純一さんの名前を見つけた。現在、ダイヤモンド・リテイルメディアの社長さんである。本書は、石川さんが社長に就任する前に、編集者として手がけた最後の書籍だった。
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【書評】 森川正之(2016)『サービス立国論』日本経済新聞出版社(★★★★)

前著(『サービス産業の生産性分析』日本評論社、2014年)は、日経・経済図書文化賞を受賞している。本書は、新たに実証データ分析を付け加えて、一般向けに日本のサービス産業の姿を解説したものである。好著ではあるが「★5」に評価しなかったは、政策...
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【書評】 ダン・ハーバー/訳・小坂恵理(2015)『食の未来のためのフィールドノート・上: 「第三の皿」をめざして:土と大地』NTT出版(★★★★)

一年前に購入して、机に並べておいた『食の未来のためのフィールドノート(上・下)』にようやく目を通すことができた。著者のダン・ハンバーは、ニューヨークにある3つ星レストランのシェフ。穀物農家や畜産家、養殖場や育種家たちと交流を深めながら、料理...
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【新刊紹介】 池坊専好・矢嶋孝敏(2017)『いけばなときもの』三賢社

矢嶋さんの4冊目の著書は、生け花の御師匠さんとの対談。このところ、矢嶋さんは年1~2冊のペースで本を出している。一昨年、ゼミの課題図書に指定した『きものの森』、全国の産地と社員さんが登場する『つくりべの森』。学習院大学の伊藤元重教授との共著...
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【書評】石井淳蔵(2017)『中内功 理想に燃えた流通革命の先導者』PHP研究所(★★★★★)

石井先生が、戦後流通革命の旗手、中内功さんの評伝を書くとは意外だった。しかし、考えてみれば、神戸大学を退職したあと、田村教授の後任として、石井さんは流通科学大学の学長に就任している。PHPがシリーズ「日本の企業家」を刊行するとしたら、書き手...
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【推奨!】岩崎達也(2016)『日本テレビの「一秒戦略」』小学館新書

岩崎さんの新刊本が重版になった。11月の発売だったので、予想よりは遅めの増刷だった。王者フジをわずか二年で打ち破った日テレの「フォーマット改革戦略」を開示した解説本である。講演依頼も増えているらしい。タイミングよく、わたしとの共編著『メディ...
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【書評】日経ビジネス編(2016)『鈴木敏文 孤高』日経BP(★★★★)

発売から二か月が経過しているのに、ビジネス書で一位にランキングされている(28日17時)。評価者のひとりが、最低点(★1)をつけていたが、その辛いスコアには一理ある。ボリュームで3分の2を占める第2章と第3章が、約20年前に『日経ビジネス』...
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【新刊紹介】大山健太郎(2016)『アイリスオーヤマの経営理念 私の履歴書』日本経済新聞出版社

大山さんと『メーカーベンダーのマーケティング戦略』を出版したことがある。22年前に出した共著は、アイリスオーヤマが海外進出する際、企業紹介用に英語に翻訳されている。米国、オランダ、中国(大連)に進出したころだった。大山さんはその後、ダイヤモ...
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【映画評】原作:こうの史代『この世界の片隅に』(★★★★★)

戦前・戦中の軍港、呉市を舞台にした漫画の劇場版。戦艦ヤマトや原爆ドームが登場する。暗い戦争映画と思いきや、そこには思想的な宣教や直接的な反戦のメッセージはない。ただただ、18歳で広島から呉に嫁いできた主人公すずの日常を淡々と描いていく。