少し前にブームを巻き起こした「糖質カット」の指南書。わたしと同じ秋田県出身のお医者さんが書いた本で、ベストセラーになった。いまごろ遅れて読んでいるのは、有機農業と植物由来の食材について推奨する『植物の時代』という本を準備しているからだ。
同郷だからではないが、夏井さんは、なかなかの知恵者だ。IQがかなり高いことがわかる。論理展開が抜群で、しかも自分の体重が糖質カットによって10KG以上減少したという証拠もついている。説得力のあるウエイトコントロールの指南書だ。
「カロリー数のまやかし」「糖尿病医療にみる不都合な真実」
わたし自身も、知らないうちに、この間ずっと糖質制限をしていたことに気がついた。朝は食べずに抜くか、おにぎり一個。昼はふつうにお弁当(米食)かランチ(中華麺かパスタ類)を食べているが、ここ20年間は、夜はお米もパンも摂取しない。
例外は、フルマラソンが近づいてきた前後の1週間のみ。夏井さんによれば、カーボローディングのために、炭水化物を摂る必要がなさそうだ。そうはいっても、フルマラソンのためには、炭水化物なしには馬力が出なくなりそうだが。今週の千葉パークマラソンのハーフで人体実験をしてみよう。
実際に炭水化物なしに、脂質とタンパク質を中心に食事を組み立てて体重は落ちるだろう。わたしの経験でもその通りである。しかし、問題は次のようになる。人類が炭水化物の甘さの誘惑を振り払って、脂質とタンパク質を摂取して、穀物類に汚染された世界が本当に経済的に成り立つのだろうか?
地球の健康と効率の問題がその先には横たわっている。人間の体はより軽くなるだろうが、小麦とコメとジャガイモとトウモロコシで成り立っているフードビジネスを、大豆と海藻と一部のタンパク源で置き換えることが可能かどうか。地球の生命循環にかなっているのか?農業と食品産業に関する近年の議論では、畜産業は、基本的に持続可能ではない。
となると、脂質はコーンから、タンパク質は大豆由来でとなる。その他の植物に抽出手段があるかもしれない。
さて、本日は200頁まで読み終えている。この先に、「Ⅶ 糖質から見た農耕と起源」が待ち受けている。この章を終えてから、ふたたび、農業問題と糖質制限について、考察してみたい。
どことなく「眉唾な論理」が本書には潜んでいる直観がしている。もちろん個人的には、甘いものから離れる傾向がある「肉食獣」なので、本書のロジックは私には都合がよいのだが。