女子の社会進出には、「M男」(マネージャー男子)が必要だ!

 このアイデア(マネージャー男子)を抱くようになったのは、偶然でも何でもない。元院生女子たちがもっと社会的に活躍するにはどのような条件が必要なのかを考えてきたからだ。その結論が、パートナー男性(夫)がマネージャーに徹すればよいだった。そう、M男くん(えむおくん)を量産すればよいのだ。



 前例がないわけではない。亡くなったシャンソン歌手の越路吹雪には、立派なマネージャーがついていた。旦那さんだったはずだ。わたしの研究仲間には、優秀な女性研究者が多い。国内外をとわず、彼女たちに共通しているのは、やさしい旦那さんをもっていることだ。
 「内助の功」は死語になりかけているが、ことが彼らについてとなると、いまや内助は夫のほうだったりする。彼らの典型的な職業は、SE(システムエンジニア)や教職者(大学教職員)である。場合によっては、SOHO(IT系)でフリーランスをしている男子もいる。教員やフリーランスのエンジニアは、妻の出産後に子守を引き受けてくれる。

 10年数年前に、わたしたちの学会が、米国のビジネススクールの有名教授を学会に招聘した。講演を依頼された彼女は、なんと出産を終えたばかりだった。驚いたことには、彼女と一緒に旦那さんが付き添いで来日した。もちろん学会中は、旦那さんがベイビーのおむつを取り替えたり、ミルクを与えていた。
 話してみると、彼はフリーランスのIT技術者だった。自宅でしごとをして、彼女を支えていた。SOHOがごくふつうの仕事のスタイルである米国では、彼のような男子は少なくないのだろうと当時は思っていた。最近になって、それに近い事例を日本でも見るようになった。わたしは、社会的に大活躍している女性たちの良きマネージャーという意味で、彼らを「M男くん」と名付けた。
 M男くんたちは、案外と料理も上手である。掃除洗濯もまめにしているようだ。だから、そのうえで、彼らが仕事面でも彼女たちをマネージしてくれれば、有能な女子たちの社会進出は容易になる。