【JFMAニュース・巻頭言】「花贈り、3つの逆転現象: 消費者調査からの発見」(2013年10月号)

 JFMAでは、2009年から「花と野菜の消費者調査」を毎年継続して実施している。皆さんからいただいている貴重な会費を、目に見える効果がすぐに出るわけではないネットリサーチに投入する価値があるのだろうか。


ずいぶん迷いながら予算の一部を消費者調査に投入してきた。しかし、今年の6月に実施した調査結果を見て、会長としてそうした迷いは完全に吹っ切れてしまった。われわれのこれまでの努力が報われたからである。今回の調査からは、2011年から始まった「フラワーバレンタイン」(2月14日は男性から女性に花を贈る日)のプロモーションキャンペーン(効果)が、若い男性を中心に浸透してきているという結果が調査で確認できた。

 これまで6年間、継続してきた調査の費用が無駄にはなっていなかったことがデータで示されたわけである。消費者向けのネット調査は、たくさんの質問項目から構成されている。その中から、今回は、性年齢別にみた、「プレゼント用の花贈り」に関するデータに絞って解説する。花贈りの常識を覆す3つの事実が明らかになった。

(1)20代~30代で男性と女性のプレゼント購入比率が逆転
 今回の調査で一番びっくりしたのは、調査開始以来はじめて、男性がプレゼント用に花購入する割合(34.1%)が女性の購入率(34.0%)を上回ったことである。調査を開始した2009年は、男性が47.6%に対して女性が58.7%だった。プレゼント用に花が魅力的な商品であることを、世の中の男性が理解し始めているらしい。日本でも、花贈りで男性優位の時代が訪れたのである。

(2)若い女性がプレゼント用に花を贈らなくなった
 2009年~2010年ごろ、プレゼント用に花を購入するのは、男女ともに若い世代(20代~30代)が圧倒的に多かった。男性に関してはその傾向は変わっていない。ところが、若い女性(20代・30代)に関して、この神話は崩れてしまった。50代~60代の女性がプレゼント用に花を購入する率(35.9%)に対して、今年(2013年)は、20代女性の比率は30.8%、30代女性は33.3%である。美容やスマホにお金を使うために、若い女性たちは、プレゼント用に花を買う余裕がなくなってしまったのだろうか?

(3)「妻・恋人」と「母親」へのプレゼントが逆転
 従来は、日本の男性たちも、母の日には母親(義母)に花を贈る習慣があった(2009年、14.9%)。しかし、妻や恋人に花を贈るのは、年に一度の母の日と比べて、割合としてそれほど高くなかった(「妻」へ11.5%、「恋人」へ5.8%)。2013年に、妻や恋人に花を贈る比率が、20代~30代の男性については突出して高くなった。20代男性で「妻」へは、3.8%(2010年)→11.5%、30代男性で、「恋人」へが、5.8%(2010年)→11.5%(2013年)。

 20代~30代の男性で、母親(義母)に花を贈る場面も増えている。もしかすると、日本の男子30代(「花男子世代」)では、花贈りの習慣が変わりつつあるのかもしれない。フラワーバレンタインの運動がこうした現象(効果)をもたらした可能性がある。さて、どうだろうか?青山フラワーマーケットの井上社長(フラワーバレンタイン推進委員会会長)、日比谷花壇の宮嶋社長(同副会長)、i879の西家社長(同副会長)、小川典子さん(フラワーバレンタイン・ワーキングチーム・リーダー)やワーキングチームのメンバーたちは、このデータをどのように見ているだろうか?(データーの表がP15に記載されています。)