記念講演会のオープニングスピーチ(要旨)

 記念講演の前にいろんな人が研究室にやってきた。昨日は、とうとうビッグサイトのエントリー会場に行けなかった。本日、ゼッケンを受け取ってから、市ヶ谷にてヘアカット(半澤さんのマッサージつき)。今夜は、いつものようにスタート地点から200Mの新宿ハイアットに宿泊する。



 さて、昨日の記念講演会には、遠方からたくさんのかたが駆けつけてくださった。北は仙台から西は京都まで。主宰がオーガニック系の会(フードマーケティング研究会)だったので、農業生産者と流通関係者がコアの参加メンバーだった。それでも、研究者仲間(元院生や同僚、学会関係者)や花業界の方にも、たくさん遠方からいらしていただいた。
 新しいフードチェーンシステム(分散型生産流通システム)の研究は、ようやく始まったばかりである。マクドナルド研究はその第一弾であるだけではない。マクナルドの失敗は、新しい枠組みを考えるためヒントであり、”お手本”(反面教師)だとわたしは思っている。その枠組みを、昨日ははじめに話すことになった。
 聴衆の方には、わたしが意図している「未来予想図」を理解していただいたと思う。以下、講演会場で資料としては配布されなかった、冒頭部分(パワーポイント資料)をデータとして残しておく。

 フードシステムでわたしたちが歩んできた「過去」に対して(左側)、
 いまわれわれが向かおうとしている「未来」の姿を対置してみる(右側)。

  洋         VS 和
  人工(artificial)  VS 自然(natural)
  直線       VS 曲線
  標準化(均質)  VS 多様性(ゆらぎ)
  グローバルな経済 VS ローカルな生活

 わたしたちが戦後に欧米から学んだ市場志向の考え方は、どこかいまの時代にはフィットしていない。競争市場を通した効率性の追求(米国流の株主資本主義)は、長期的には組織で働く人々を幸せにしない。だから、それに代わる思想=「ステイクホールダー資本主義」が必要である。
 マクドナルドの失敗は、それほど遠くない過去(およそ70年前)に作られた「創業の理念」を忘れたところから始まっている。「QSC+V」の実現は、マクドナルドの社員や加盟店オーナー、現場で働くクルーたちによって支えられていたはずだった。

 さて、14年前の予言(「チェーンストアエイジ」2001年12月号)のように、わが世界はスローな時間を刻むようになるのだろうか?
 仕事と家庭(ワークライフバランス)、効率と効果のトレードオフ、競争と協調のさじ加減。解決すべき課題は多い。しかも、具体的な解決策の提示が待ったなしの状態だ。
 21世紀の経営学は、「21世紀の資本論」の問題提起(富の不平等)に対して、企業マネジメントと戦略立案という側面から適切な解答を与えなければならない。そのための枠組みは、わたしたちがよく知っている「マスマーケティング」や標準的な「チェーンストア理論」とは似て非なるものなのではないだろうか?

 以上、昨日の講演での問題提起の骨子である。