前回のブログ「枯れバラ交換システム」に続いて、学生たちが発見したもうひとつの成果を紹介する。それは、花業界(花売場)の常識を覆す意外な結論についてである。「バラだから、洋風の名前」「花の売り場だから、暖色系のPOPや幟を採用する」という思い込みに対する反証である。
ヤオコーでは、昨年(2012年)から全店で「ざ・ばら祭り」を実施している。
新任の大島部長のアイデアで、「バラのヤオコー」を目指すためのプロモーションである。毎月1回、週末の金・土・日の3日間を、バラを売り込む日にしようというわけである。この3日間だけは、いつもよりバラの数量と種類が増える。
ヤオコーから、花売り場の店頭企画(前期の課題)を任された学生たちに、大島部長から、「バラフェア」の幟を考案すること!という課題が与えられた。昨年の夏ごろのことである。
というわけで、店内に飾る「幟」(のぼり)と「POP」(プライスタグ)を学生主導で企画製作することになった。ヤオコーの社内でインストアプロモーションを担当している女子社員さんと、取引先の印刷会社の社員さんの協力を得て、学生たちが「バラフェア」を企画することになった。
まず、なんと、毎月3日間実施されている「バラフェア」の名称を、横文字の「Rose Festa」から、漢字ひらがな交りの「ざ・ばら祭り」に変更した。そのうえで、幟とPOPの基調色として「紫色」に選んだのである。思いもかけない提案だったが、テスト結果はそのようになっていた。そのことを受けて、実際に、ヤオコーではバラフェアを紫と和風に変えてしまった。
実験の日に、わたしもその場(八王子並木町店)に居合わせていた。
消費者テストでは、遠くから複数の幟の候補を示して、来店客の視認性や注目度をチェックしてみた。バラから連想される「赤」や「オレンジ」や「ピンク」や「緑」では、売り場からあまり浮き立たないのである。
なんと、思いもつかない「紫」が、花売り場ではもっとも視認性が高かった。12月と1月の「ざ・ばら祭り」の実施店で、紫色の「プライスタブ」を見たが、暖色系のバラ売り場では、紫の幟と価格POPが浮き立って見えた。
結果として、フェアの名前をより注目度が高い「おもしろ和風」に変更した。売り場の基本色調も、月一回だけ「紫」に変えるという決断をした。そのことが、売り場を活性化させる決め手になったことは興味深いことである。
常識は一度は疑ってかかるべしである。貴重な体験で教訓だった。