お菓子からパソコンまで、幅広く扱う会員制スーパーのコストコ。安いと評判だが、いったいどうやってその低価格を実現しているのか?
年会費を払う会員制スーパーはホントにおトクなのか?
1999年の日本進出以来、着実に店舗を増やしているコストコ。最大の特徴は、会員制スーパーという点。
コストコで買い物をするためには、個人年会費4200円、法人会員3675円を支払う必要があります。
日本ではなじみがないこのシステム、上陸当初は「うまくいかずに撤退するのではないか」という見方が大勢を占めていました。しかし、現在10店に達したように(2011年10月末現在)、すっかり定着しています。
もう一つの特徴は、商品が業務用で使われるようなビッグサイズであること。その点も不安材料でしたが、定期的に買い物をする業務用ユーザーのハートをがっちりつかみ、コストコに安定的な売上をもたらしているようです。
じつはコストコを支えているのは業務用ユーザーだけではありません。注目したいのは、個人客。
一世帯で消費しきれないほどの大容量商品であることを逆手にとり、客同士が集まって共同購入するスタイルで利用されているのです。
おそらくはこれは日本だけの現象でしょう。以前から日本では生協の共同購入が盛んで、それが主婦たちのネットワーク形成にも一役買っていました。しかし、いまや生協も個別宅配の時代に。それに代わるものとして、“ママ友たちがコストコ共同購入”というスタイルが台頭してきたのかもしれません。年会費を払っても、共同購入なら安くなるというわけです。
商品の陳列にコストをかけない倉庫型!
コストコが人気を集めている理由は他にもあります。一般的に大型スーパーは取り扱う商品の種類が豊富で、10万種に及ぶ場合もあります。日本進出に失敗したカルフールも品揃えは豊富でしたが、国内調達がうまくいかず、海外や国内の聞いたことのないブランドが数多く並んでいました。また、ディスカウント店は品揃えが絞られているものの、売れ残りなどの不人気商品を安く仕入れて安く売るビジネスモデルなので、売れ筋商品が店頭に並びません。
一方、コストコが取り扱うのは4000種強。「この商品ならこのブランド」というように、誰もが知っている売れ筋に絞って品揃えしています。それがお客の安心感につながったのではないでしょうか。
商品の種類が少なければ、オペレーションコストも下がります。そもそもコストコは倉庫型店舗なので品出しの必要がありません。それも含め、最小限のオペレーションコストに抑えていることも成功の要因だと思います。
コストコ一店舗の売上規模は年間130億円。これは一店舗の商圏が大きく、遠くからも客さんがやってくるからでしょう。お客にとっては、年会費やガソリン代を差し引いてもなお、おトク。コストコ人気はまだまだ続きそうです。