英語学習から料理レシピ、ゲームまで、いまやなんでもアリなのがスマホアプリ。1回のダウンロードでいくら儲かるのか?無料アプリはどんな仕組みになっているのか?知られざる舞台裏に迫る!
次々と新作アプリが登場する背景には、こんなウラ事情が…
スマートホン人気の理由は、なんといっても豊富なアプリ。次々と新しいものが開発されるのは、やっぱり儲かるから?
「いえ、それほど儲かるわけではありません。アプリ開発はギャンブルに近いものがあります」
と解説するのは小川孔輔先生。
「アプリ開発の実態を知るには、まず無料と有料のビジネスモデルの違いを理解する必要があります。無料アプリは、広告収入がメイン。広告は表示するだけでお金が入るものと、クリック数に応じてお金が入る成功報酬型があります。成功報酬型なら、1クリック10円以下が相場。ユーザーが広告を見てクリックする確率は1%以下ですから、広告収入を増やしたければ、相当なダウンロード数が必要になります」
ちなみに1000万ダウンロードされた某アプリの広告収入は月に30~60万円。
1000万ダウンロードは、音楽業界でいうとAKB48並みの人気。大ヒットしても普通のサラリーマンの収入を少し上回る程度です。
有料アプリを使う人は無料アプリの1/100!
一方、有料アプリはどうでしょうか?
「単価は100~300円前後で、たとえばiPoneの場合、アップルに支払う手数料は、販売価格の3割。100円のアプリなら、1回ダウンロードされると70円の収入になります」
10万ダウンロードあれば、収入は700万円!これなら儲かる気がしますが…。
「有料アプリのダウンロード数は、無料アプリの1/100程度。しかも、開発にはある程度の期間がかかります。1つのアプリを開発するのに2か月かかるとしたら、年に6本。その中からヒットが出る保証はなく、むしろ確率的には鳴かず飛ばずの可能性のほうが高い。一攫千金の要素が強いので、スマホメーカーは開発にそれほど積極的ではないはずです」
アプリ開発のビジネスモデルのもとはソニー!
では、いったい誰がアプリを作っているのでしょうか?
「時間に余裕がある理系の学生や個人プログラマーが、副業として作っているのです。無料アプリがダウンロードされても、アップルやグーグルは儲かりません。有料の手数料もたかが知れています。それでもスマホ市場のシェアを取るためには、アプリの充実が必要。が、ヒットするかどうか未知数のアプリを自社で開発するにはリスクが大きすぎる。そこでアプリ開発の門戸を広げ、誰でも参入できる状況を作っているのです」
このビジネスモデルのもとは、じつは1990年代のソニーなのです。
「当時、ファミコンソフトはカセット。制作には多大なコストがかかり、開発は大手数社に限られていました。一方、ソニーのプレステはソフトがCDで低コスト。ソニーはベンチャー企業をソフト開発に参入させることで、プレステのシェアは一気に拡大しました」
今後、開発者をどれだけ呼び込めるか。スマートホンが普及する勢いも、それによって大きく左右されそうです。