「キャラクタービジネスの秘密」『Big Tomorrow』連載第11回(2009年7月号)

キティちゃん、ドラえもん…をつけると、どれだけ売れるのか? 文房具から食玩、パチンコ台にいたるまで、いまやあらゆる商品にキャラクターがついている。キャラクターをつければ使用料が発生するが、はたして採算は取れているのだろうか?


「一般的にキャラクターの版権使用料は、最低保証の固定料金と、売上に応じて決まるロイヤリティの二本立てなっていますが、じつはキャラクターのロイヤリティは意外なほど安い」
 と解説してくれたのは、小川孔輔先生です。
 「キャラクターの版権は知的所有権の一種ですが、同じ知的所有権である本のロイヤリティ(印税)相場10%と比べると、キャラクターの版権は半分以下。本は著作権抜きに成立しませんが、キャラクターグッズはキャラ抜きでも商品が成立します。キャラクターはあくまでも付加価値なので、総じてロイヤリティも安いのです」
 
 ファンシー、アニメ系は買い手市場で使用料も安い!
 キャラクターは、
 ●クラシックキャラ(例:スヌーピー、ピーターラビット)
 ●ファンシーキャラ(例:キティちゃん)
 ●アニメキャラ(例:ドラえもん、ピカチュウ)
の3つに大別できるが、なかでもロイヤリティが安いのは、ファンシー、アニメ系だとか。
 「クラシックキャラは背景に物語があるのでイメージ重視。ライセンス提供先が絞られるため、売り手市場になります。一方、ファンシーキャラは物語に縛られず、どんな商品にもつけられる。またアニメキャラは背景に物語がありますが、いろいろな商品につけてもらえば元のアニメのプロモーションになる。どちらも買い手市場になりやすく、ロイヤリティも低くなります。キャラクターの人気によりますが、ファンシー、アニメの場合、値段の1~2%前後でしょう」
 つまりキャラクターの版権使用料を払っても、売上が1~2%伸びれば十分に元は取れるということ。
 さまざまな商品にキャラクターがついているのも納得だ。

 日本はキャラクター天国 ただし、注意すべきは…
 「じつは日本はキャラクター天国。たとえばスヌーピーのような世界的に有名なものも、商品がもっとも売れているのは日本です。スヌーピーの版権管理会社は、収益の1/3を日本市場から得ているほど。キャラクターは一種のブランド。日本人はブランド信仰が強いので、他の国よりキャラクターグッズが売れるのかもしれません」
 ただし、キャラクターを利用した商品展開には落とし穴もあるので要注意。
 それは人気の読み間違いだ。
 「キャラクターグッズは、キャラクターの人気に陰りが出た途端売れなくなります。旬を過ぎたものを使用して失敗すると、最低保障の固定料金すら元を取れずに赤字になる可能性もあります。また、売れなくなれば、大量の在庫を抱えるリスクも。いま人気だからといって、安易に飛びつくのは危険」
 キャラクターを商品に使うときは、定番キャラを選ぶのが無難かも!?