ランナーズ(2011年8月号)編集部からのインタビュー掲載 「現地の仲間に会える喜び 仕事よりマラソンが大事、かも?」

 『月刊ランナーズ』の編集部から、先週のインタビューをまとめた原稿が送られてきた。8月号は、6月22日発売らしい。わたしのような「走り狂の」の仲間に取材したらしい。その中でも、わたしは極めつけだろうな。だって、仕事より先にレース日程を決めるのだから。

 月刊ランナーズ 特集インタビュー
 「現地の仲間に会える喜び 仕事よりも大会が大事、かも!?」
 小川孔輔さん(59歳)

 昨年9月、故郷である秋田県で開催された「田沢湖マラソン」で、47都道府県大会出場制覇を達成。2000年1月からカウントし始め、それ以前も30大会は出ているので、「よくぞ、こんなに走ったなあ」と、感慨もひとしおだった。

 日曜大会の場合、前日の最終で現地入りすることが多い。到着後は、酒を飲む。日本全国どの県にも、懇意の花の生産者や昔の教え子がおり、彼らが歓待してくれるからだ。これは、47都道府県制覇の、強いモチベーションであった。温かいもてなしや応援が、どれだけ背中を押してくれたことだろう。そして、レース後は温泉で身体を癒し、地元の美味な食材に、舌鼓を打つ。私は秘湯が好きで、レース選びには欠かせないファクターである。

 そんな私だが、大会出場の際には、前後になるべく仕事をからめるようにしている。でも、ほとんどが「後づけ」である。仕事よりも、講演よりも、マラソン……とまではいかないが、でも、それに近い。

 振り返って、もっとも印象に残る大会といえば、良くも悪くも「熊本水上ロードレース」(2009年11月29日)。なんと、実業団や大学陸上部選手らエリートばかり出場する公認ハーフマラソンで、それが分かったのが前夜。「何としても、このタイミングで熊本を走らねば……」と、まともに要項を確認せずにエントリーした大失態。たった30人の出場者のうち、青ざめた顔をしているのは、私ともうひとりの市民ランナー。「5kmごとの関門は、トップ通過後15分で閉鎖」というルールをスタート前に聞き、行くしかない! 最後尾の車を従えて走り続け、何とか無事にフィニッシュ。でも景色はきれいで走りやすく、応援も温かかった。あんな失敗、後にも先にも、あの大会だけにしたいなあ。
 

(おがわ・こうすけ)
秋田県出身。法政大学経営大学院教授。日本におけるマーケティング分野の第一人者として、トップ企業のコンサルティングや共同プロジェクトに携わり、著書多数。また、日本フローラルマーケティング協会会長も務め、花を贈る文化を、日本にももっと普及すべく、尽力する日々