二日で55Kを走りきれた!@雲仙小浜から

 20キロ地点は、小浜支所になる。アメリ東海岸の都市にありそうな洋館風である。建物の二階から垂らした白い幕に、「祝、オバマ大統領、ノーベル平和賞受賞」とある。名前が同じなので、小浜市民は、勝手にアメリカ大統領を応援している。雲仙小浜ハーフ、残りはあと1キロ。参加者162人中、この時点でわたしは158位。後ろには4人しかいない。


しかしである。かなり余裕があったので、13キロ地点から並走してきたふたりのランナーを引き離す。前を走っていたふたりをさらに追い抜いて、めでたくゴールイン。155位?関門の2時間は楽々クリア。1時間48分26秒。
 昨日の川崎新春マラソン30Kと合わせて、二日間で51Kを走り抜いた。会場までは2Kを歩かされたので、都合55キロである。
 不安はあったが、やればできるものだ。「ひとり箱根駅伝ハーフですね」、とは研究室の秘書、福尾さんからのねぎらいの言葉。人のからだは、一日寝れば、回復するものなのだ。運もよかった。小雨でのスタート。しかし、土砂降りにならず。島原半島は、多少の傾斜はあったが、走りやすい海岸線のフラットな走路だった。

 出発の直前に、大会のパンフレットに目を通していたら、思わぬことを発見。さてと、やはり。制限時間が2時間とある。会場の雰囲気がやたらと張り詰めている。もしや。
 先々月の悪夢のことを思い出していた。雲仙小浜ハーフ、昨年も男子ハーフの参加者がわずかに126人。だいたいスタイルで走力はわかるものだ。川崎で見た、仮装したなんちゃってランナーは、この道端にはいそうもない。

 ものは考えようである。2時間の余裕があれば、完走は間違いない。51Kが目標なんだからね、ど誰かの声が。後ろからゆっくり行くことにした。結果は、紹介した通りであった。
 これで、長崎県がおわり、あとは5県を残すだけになった。2月21日は、徳島海部マラソン、フル。3月21日、福岡にまた来ることに。

 マラソンの余談である。はじめてきた小浜の街はすてきだった。街のあちこちから、湯気が立ち上っている。小浜温泉の湯温は100度、と立て札にあった。源泉が熱い。マラソンで島原半島をゴールまで戻って来るとき、あと3K地点に来ると、小浜の町がよくわかる。200軒はありそうな町中の温泉宿から、湯気がもうもうと立ち上っているからだ。

 昨日から泊まっているのは、旅館国崎。長崎でただ一軒ある秘湯の宿である。これで秘湯のスタンプ帳が4枚目になるが、また二個スタンプ増えた。42軒目の秘湯の宿に泊まりになる。
 この宿は、日本の秘湯を守る会の宿にしては、値段がやや張る。一泊16000円。秘湯の標準は、一泊13000円である。旅館国崎は、プレミアム秘湯旅館である。設備がすてき過ぎて、秘湯らしくないかも。
 全12室?。家族風呂が三ヶ所。岩風呂、檜風呂、露天風呂。それぞれのお風呂と各部屋の床の間には、こけ玉をベースにした野草の生け花。調度品も旧くて、しっかりしたデザインのものを揃えている。

 宿に到着すると、ロビーではウエルカムドリンクがサーブされた。塩こぶ茶に、甘いもの大福。薄暗いロビーのテーブルには、水盤が真ん中においてあって、水藻とビー玉の間をめだかが泳いでいる。今朝は、朝食のあと、このロビーでコーヒーが提供された。

 宿の外観とロビーの写真を送ったら、「先生、レトロな感じですか?」とお返事があった。「宿全体がレトロな感じ。モダンレトロかな」、はわたしの返信。
 お食事も凝っている。地のもののおさしみ。とくに、ふぐの湯引きがおいしい。ふぐは、煮付けでも出てきた。名前か特別だったが、独特の呼び方を忘れてしまった。
 そういえば、「山口では、ふぐを【ふく】と呼ぶんですよ」。下松出身のリサーチアシスタント、青木恭子さんから教えてもらった。ふぐは、ボン酢で。柚子胡椒で、生タコと白身魚のおさしみを。
 つきだしは、ナマコ。わたしがあまり好きではないはずの、八つ頭を甘く煮て出してくれたのには参った。うまい!のだ。
 お肉は、豚のしゃぶしゃぶ。野菜をたっぷり、小浜温泉の源泉で。塩味がついている。温泉のお湯が海水だからである。確かに、温泉はしょっぱかったな。「よく温まって、ぽかぽか。だから、湯冷めがしないんです」と仲居さん。

 日本の秘湯守る会の宿のなかでも、サービス、施設、料理、いずれもトップクラスである。東京羽田から長崎空港まで80分のフライト。そこからレンタカーで約1時間半。島原半島の小浜温泉、いまも活動している活火山、普賢岳のふもとに旅館国崎はある。レトロですてきな秘湯の宿に、一度は投宿を。 小川