「しまむら」の楽しみ(小川町物語)

 いまから30年前、大学院生だったころ、埼玉と群馬の県境の商業施設(商店街や中小スーパー)をいくつか調査したことがある。


大店法の影響度調査であったが、調査団長は、なつかしい梅沢豊先生であった。
 当時、梅沢先生は米国留学中で、経済学部梅沢ゼミの学生数人の面倒をわたしが見ていた。当時のメンバーには、現在一橋大学教授の古川一郎君や日本みらいキャピタル社長の安嶋明君たちがいた。皆さん、優秀な学生であった。
 群馬県の藤岡市に出店したIYが、地元の商業活動にどのような影響を与えているかを調べていた。古川、安嶋のどちらかが車を運転していて、鬼石町に差し掛かったとき、小さなNSC(近隣型ショッピングセンター)を見つけた。NSCとは名ばかりで、一階は小さなスーパー(100坪くらい?)、二階がやはり小さな衣料品店であった。なんと、いまはいずれも東京証券取引所一部上場企業となった、超優良企業のヤオコーとしまむらである。まったく無名の会社で、八百屋と呉服店からの転業であった。聞くところによれば、どちらも本社は埼玉県小川町出身であることがわかった。
 後に、ヤオコーの川野社長にインタビューすることがあったが、笑って私の話を聞いていた。まだ数店舗のころのことで、しまむらと一緒だったのは偶然だったらしい。しまむらの藤原会長にはお会いする機会はないが、その後も、しまむらの経営については、ずいぶんと楽しませていただいている。少なくとも、ヤオコーについて言えば、量販店の出店攻勢から逃れるために、田舎立地を開発してきたということだった。おそらく、県道沿いの二等立地の路面店からはじまった「ファッションセンターしまむら」も、ヤオコーと同じ発想から立地を求めていったのだろうと考えられる。
 昨日のゼミで、しまむらのPBブランドを調べてきた女子学生がいた。信じられないラインナップであった。社内にネーミングの専門家も、デザインの専門かもいるだろうか、あえてスーパーなブランド名をつけるところが、しまむらのセンスのすぐれているところである。地方の人口1~3万人の町に住む消費者のニーズに寄り添った現実経営である。肩肘張らず、すばらしい感覚である思う。最後に。。。。

ファッションセンターしまむらのPB一覧(徳山幸美作成)
<レディース>
 THEORIA、Place Garden, Coloring-gem、Favoritism
<メンズ>
 Villand, Selfishness
<キッズ>
 Shimax Junior, Day dream, Lucky eight
<インナー>
 Shimax, Freude
<リラックス>
 Amuse by dream、思夢楽、花貴族、胡蝶の夢

 蛇足、徳山さんがネット検索していて、隣で見ていた高校生の妹さんがとても欲しがったのが、「胡蝶の夢」の浴衣だったそうです。