JFMAの発足前から、仙台の仲卸商・東園生花の高橋勝巳社長(JFMA理事)とは知り合いだった。わたしが、法政大学の産業情報センターで、「花ビジネス公開講座」をはじめたとき、第二期生として、仙台から月に一回上京して講座に参加してくれていたからだ。
昨日(10月31日)が、その高橋さんの誕生日だった。JFMAの仙台地方セミナーだったので(実際は、高橋さんの誕生日に当てたのだが)、お誕生日を皆でお祝させていただいた。ついでに、わたしの誕生日も一週間遅れて(笑)。
国分町でセブン-イレブンを探してさまよって、ようやく見つけた「BIGtomorrow」(青春出版社)のプロモーション記事を、わたしから高橋さんにお渡しできた。本当は、コンビニの棚で、『お客に言えない!「利益」の法則』を探すはずだったのだが、宮城県ではまだ入荷していないらしい。
あとで、東京から現物を送る手はずを整えさせてもらった。昨日は、カタログの紹介文だけになってしまった。
話がわき道にそれてしまった。高橋さんは、さそり座の55歳である。最初にお会いしたのが1992年ごろだったから、あれから20年近くが経過している。ふたりともしわが増えて、白髪まじりの頭になった。
当時40代前半のわたしと、30代半ばの高橋さんは、ずいぶんと年が離れていると感じたものだ。しかし、20年もたてば、年齢差などほとんどないも同然になる。還暦を迎えた天秤座の60歳と、さそり座の55歳は、似たようなものだ。
当時のわたしは、花産業の市場規模が10年後には2倍になると信じていた。一兆二千億円が2兆円に! 10年後のいまは、市場規模が1兆円に、逆に20%ほどシュリンクしてしまっている。
たとえ時間はかかっても、「いつかは2倍!」と本当に信じている。いや、もはや念じていると言っていいかもしれない。
「量販店が大きく成長するとおっしゃってましたよね」(高橋社長)。
昨夜の会話で、高橋さんの第一声である。その瞬間、わたしは苦笑いをせざるをえなかった。そうなのだ。量販チャネルの売り上げが、思ったように伸びていない。
仙花の谷井社長が、昨夜の仙台セミナーの乾杯のとき、「花屋さんのほうが、元気に見えますね」とあいさつをされた。JFMAのネット調査(マクロミル)を引用しての話だったのだが、調査データを見ても、その通りなのだ。専門店の方が、ここ数年は健闘している。
当初(20年前)、わたしが青写真で描いたようには、切り花の新しい販売チャネルが拓けていない。市場が動くまでに時間がかかるだけなのか、それとも、そもそも日本の市場は、欧米とは異なる道を歩んでいくのか。
JFMA会長のわたしは、自信を喪失してはいないのだが、現実はきびいしいものだ。
そうこうしている間に、高橋さんは、仲卸業から小売業(専門店)に事業を拡張している。
奥様の容子さんは、わたしが10年ぶりに開いた「花ビジネス講座」(2009年度)のお弟子さんである。09年の秋に講座を受講した後、昨年になって、ほんとうに仙台の街で花店「花創作 苺いちえ」を開いた。そして、実によく頑張っている。
谷井社長のあいさつの通りに、開業二年目で、昨年度比で30%以上、売り上げを伸ばしている。奥さんが経営する店舗の様子を見て、高橋社長はとてもうれしそうだ。
「小売りをやってると、お客さんのことが見えるので、なんかいいんですよね」(高橋さん)
20年前にお会いしたころより、高橋さんはいまの方が生き生きとして見える。
「会社の事業規模は、当時よりわずかだけど、小さくなっているかも。でも、先生、中身が変わりましたよね」(高橋社長)
20年間、とくに花産業が収縮をしはじめた10年前から、もし高橋さんが何も手を打たなければ、東園生花の売り上げも利益も、会社としての活力も、いまのようにはなっていないかもしれない。その点には貢献しているのだろう。
そんな風に、自分の指導とこれまでの予言を「曲解してみたく」なった。でも、55歳の誕生日を迎えられた高橋さんは、とてもお元気そうだった。
「輸入花が増加して、コールドチェーンがだんだんと実現しつつある。国内生産者が草花系へ栽培品目を移行するなど、わたしの予言は、10年遅れで進みしつつはあるのですよね」(会話途中のわたしからのコメントです)。