おめでとう! 友人の前川裕教授(国際文化学部)が「日本ミステリー文学大賞新人賞」を受賞

 いまから数年前、友人の前川裕さん(法政大学教授)が、某ミステリー大賞の最終選考(4編中)に残っていることを知っていた。もしも受賞してしまうと、わたしにとってはまずい事態になるはずだった。前川さんには残念なことに、惜しくも受賞を逃してしまった。

 あれから9年。前川さんは、そのとき「二回目で最後のチャンス」だと言っていた。ところが惜しくも落選。そのことが判明したことを話している彼は、ちとさみしそうだった。
 あのときは、わたしたちは51歳。いま、前川さんもわたしと同じの年男(うさぎ年)だから、還暦での「新人賞」受賞である(笑)。
 前川さんが、現役の教授でミステリー小説を書いていることを知ったのだが、そのことが、わたしにビジネス小説っぽい作品を試す心理的な支えを与えてくれた。

 いまの今、携帯がつながって、直接ご本人と話すことができた。コールバックは、病院からだった。受賞したせいか、血圧が上がってたいへんそうだ。と。しかし、まあ、めでたい、めでたい!
 駅伝もラグビーも野球も負けてしまい、このごろ、法政大学にはこれといった話題がない。大学のためにも、このニュースはどんなに貢献してくれることか。
 何を隠そう、今だから言ってしまうが、前川さんは、数年前には、「法政大学総長候補」(実際には出馬せず)だったのある。前川さん、担がれなくて、本当によかったですよね。
 
 さて、受賞の知らせは、10月24日の6時過ぎに、光文社からあったらしい。6時をすぎても出版社から連絡が来なかったので、ほぼあきらめていたそうだ。自分は運が良いと、受賞の背景などをいろいろと話してくれた。
 すでに、3冊の出版予約が入っているそうだ。うらやましい。でも、本が売れないと、ふつうの「受賞ミステリー作家」。いまからが正念場だと。ここで終わるつもりがないから、前川さんは、謙虚なひとだ。

 以下は、法政大学のホームページに掲載されている、学内ニュースでのインタビュー記事である。小説そのものは、2月に出版されるとのこと。
 みなさん、絶対に買って読んでくださいね。
 
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法政大学ホームページより
「国際文化学部の前川裕教授が日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞」(2011年11月01日)

国際文化学部の前川裕教授が、光文文化財団が主催する日本ミステリー文学大賞において新人賞を受賞しました。贈呈式は2012年3月15日(木)、東京・丸の内の東京会館で予定されています。

日本ミステリー文学大賞は同財団が推理小説の発展に貢献した作家・評論家を称える賞で、そのうち新人賞は公募により選ばれる新人文学賞。第15回目となる今回は応募総数157編の中から、新人文学賞の分野において前川教授の『CREEPY』が選ばれました。

前川教授は受賞に関し、次のように話します。
「今回、最終候補に残っていることを出版社から知らされたとき、最後のチャンスだと感じました。9年前にも別の作品で最終候補の4編に残った経験から、受賞するよりも最終候補に残る方が難しいと感じていたからです。今はとにかく、受賞できて嬉しくもあり、ほっとしてもいます。けっして教育的な内容の作品ではありませんが、還暦を迎えた私が長編ミステリーの新人賞を受賞できたことで、東日本大震災で苦しむ方々や就活で苦戦を強いられている法政の学生さんたちにとって、粘り強くがんばれば何とかなるというメッセージになればいいなと思っています。今後は、アカデミックな研究とミステリーの創作を並列させてやっていこうなどと、欲張ったことを考えています」

『CREEPY』(応募時タイトル)は犯罪心理学を専攻する大学教授と「なりすまし殺人鬼」の対決を描いたホラー・サスペンス。隣に住む家族の一人がいつの間にか別の人間に入れ替わっていたらどうする、という現代の心理的恐怖が描かれています。本筋のストーリーに悲しい男女の愛憎の物語を絡ませながら物語は進行し、最後にある殺人事件の意外な真相が明かされる――人間の罪とは何かという根源的なテーマを問う作品です。予選委員を務めたミステリー評論家の千街晶之氏からは「最も上出来」と評されています。