書評紹介: The Case Study Handbook (Harvard Business School Press), by William Ellet、2007

 めずらしく英語の本を紹介する。大学院の青柳君からの要請で、ビジネスで事例の書き方を紹介した本がないかを問われたからだ。2007年に、ハーバードビジネススクールのエレット先生が書いたのを思い出した。いまさらながらだが、簡単に紹介してみる。


この本は、主としてケースを分析する学生のために書かれている。とくに、外国からハーバード大学に入学して来た留学生などは、もともとディスカッション(議論、討議)をするカルチャーをもっていない国からやってくる。

 そういった外国人留学生や学部で講義形式の授業に慣れてしまった学生向けに、本書は書かれていると考えてよいだろう。だから、青柳君が求めている「ライティング」の章も、どちらかといえば、分析レポートを書く人のために準備されている。
 もうしわけないが、青柳君のリスエストには、本書は充分に答えられない可能性がある。こうして要約をしてあげているのも、罪の意識からだと思ってもらいたい。

 全体は、4部構成になっている。第一部が「(事例の)分析(方法)」(Analysis)、第二部が「議論(の仕方)」(Dsicussion)、第3部が「(レポートの)書き方」(Writing)である。第4部として、「事例集」(Case for Analysis and Writing)である。これは付録のようなものだ。

 第一部の前に、「イントロダクション」がある。そこに書いてある文言を読めば、全体をだいたいわかってしまう。第一章「説得、議論、事例研究の方法」と第二章「事例とは何か?」が、本書の要約になっている。
 要するに、ケース研究(Case Study)とは、「問題点(議論)をシンプルにして、結論を述べるために、理由付けして、証拠を提示する手続き」である。そのように整理することができる。議論すべき対象は、企業や製品、国家組織だったりするのだが、討議の仕方は同じである。

 第一部に入る前に、イントロダクションの二章分で、だいたいが分かってしまった。第1部から第4部までは、ほとんど流し読みをしてしまった。それでも、事例分析とそれを使った討議とレポートの書き方については、ほぼ理解できるだろう。
 あまりにも簡単すぎる紹介だったろうか。詳しいことは、来週、本書を手渡すことになっている法政大学専門職大学院の青柳くんにたずねて欲しい。