書籍紹介: 藤田尚弓(2010)『「悪女」の仕事術』ダイヤモンド社(★★★+★)

先々週、研究室に来ていただいた藤田尚弓さん(㈱アップウェブ代表取締役)の著書を取り寄せてもらった。研究室でご本を開いて、そのまま帰りの電車の中で読ませていただいた。感想:「(期待した)「悪女」の話なんかどこにも出てないじゃないですか!」。男に混じって、キャリア女性が真摯に仕事に取り組むためのアドバイスの本である。


3つのことが書かれている。(わたしが勝手に内容を要約してみた)
 
 第一章 「いい人」という免罪符を捨てよう」
 「悪女」になりなさい!=男に美味しくなめられる女性(「キャンディーガール」)にならないための心まがえ、について書かれている。悪女の定義は、「かわいい女」からの脱却である。

 第二章 「素敵な「悪女」になるための5つのステップ」
 女性がビジネス社会で生きていくためには、経営学で教えられているように「戦略的に物事を考えること」が大切だ。そのためには、5つのステップを踏みなさい! 1、意識改革、2、戦略を持つ、3、実践の仕方、4、フィードバック、5、さらなる上昇(事業展開)。 

 第三章 「努力最小、リターン最大の「悪女テクニック」」
 (女性らしく、)第二章を実践的に具体的な作業ステップにわけての解説である。1、仕事の段取りの仕方、2、コミュニケーションのコツ、3.時間の管理のしかた、4、効率の良い勉強の仕方、5、自分のブランドを高めるためのテクニック(ポジショニング)、6、自己マインドコントロール(キャリア女性はとくに疲れるからね、、、)、7、自分のステージをあげる
 
 文中にも書かれているが、藤田さんは、拒食・過食症に苦しんだ過去歴がある。離婚を3回経験、転職も3回、類まれなる美貌をお持ちだが、いまのようなバリバリのキャリアにたどり着くまでは、さぞかし苦難の連続であっただろう。2002年ごろに、表参道近くで、フラワーショップの経営をしていたことを知って、わたしはさらに驚いてしまった。ウエディング専門だったとのこと。

 本書を読んでの感想である。藤田さんの優れた特性は、学習能力の高さと自己意識のコントロールの巧みさにある。いずれも、生得のものではなく、学習して得られたものだ。女性の誰もが彼女のようになれるとは思わないが、彼女が指摘している「悪女的」生き方のテクニックは、多少の志をもった学ぶことが好きな女性であれば、努力して獲得することができるだろう。
 本書の内容は、とくにコミュニケーションのとり方や仕事の段取りの仕方など、男性にとっても役に立つところが多い。なお、銀座のホステスさんがどのように客と応対しているのか、それとは逆に、世の中の経営者(幹部たち)がどのようにホステスさんと対応しているのかの生態がわかっておもしろかった。これは、ともすると簡単に女性の手のひらに乗ってしまいがちなわたしにとって、大いなる副産物であった。
 
 評価の★3+★1は、ABCクッキングスタジオの志村なるみさんへのものと、内容的にはほぼ同じである。解説は不要だろう。