ピザ、水道修理、不用品の回収…。毎日のようにポストに入ってくる出張(デリバリー)サービスのチラシ。「もう少し安かったら…」と思うこともしばしば。なぜ高めのデリバリーの料金でもお客は離れないのか?その謎を解明!
料金とデリバリースタッフの時給に秘められたウラ事情とは?
家庭教師や宅配ピザ、温泉地のコンパニオンなど、さまざまな分野で広く利用されている出張サービス。
こちらから出向かなくてもいいのが人気の秘密ですが、便利さゆえに料金も高め。
ただ、店舗を構えるサービスと比べ、賃料や設備費がかからないことを考えれば、料金はもっと安くてもいい気が…。
「一般的な店舗サービスの場合、賃料や設備費の相場は売上の10~20%。出張サービスはそのぶんだけ安くなってもいいはずですが、じつは出張ならではのコストもかかるのです」
と指摘するのは小川孔輔先生。では、そのコストとは?
店舗サービスは総売上 出張サービスは利益率!
出張サービスのコストが高い要因の一つが広告費。
「店舗がある場合、店自体が広告の役割を果たしますが、出張サービスは、広告を出さないとお客さんに存在を知ってもらえません。必然的に広告費がかさむことになります」
また、忘れてはいけないのが移動コスト。
「スタッフが現地に移動するには、車両費やガソリン代、電車賃などの交通費が必要。また、サービス提供が1時間でも、片道30分の現場なら、スタッフは移動を含めて2時間拘束されることに。つまり出張サービスの料金には、交通費や隠れた人件費が上乗せされているのです」
ただし、家庭教師やベビーシッター派遣のように、スタッフは現地集合・解散で、企業側が移動コストを負わない出張サービスも少なくありません。
その場合でも、塾や保育所より料金が高いのはなぜか?注目したいのは、店舗サービスと出張サービスの固定費(売上の増減に関係なく発生するコスト)の違いです。
「企業が黒字になるには、利益率にかかわらず固定費を上回る売上が必要ですが、店舗サービスの場合、賃料や設備費などの固定費が大きいため、必要な売上額も大きくなります。仮に固定費が月に100万円かかるなら、たとえ利益率がよくても売上100万円以下では赤字。これを避けるには、客単価を下げてでもお客さんを多く集め、トータルの売上を増やす必要があります。一方、出張サービスの場合は固定費が小さいため、それほど売上にこだわらなくていい。ムリに客単価を下げて客数を増やす必要はないので、利益率を重視した高めの料金サービスでいいわけです」
サラリーマンの副業に向いているのはどっち?
店舗サービスが低単価で客数勝負の“薄利多売”なら、出張サービスは客数よりも利益率重視の“厚利小売”。
この違いは、スタッフの給料にも反映されます。
「店舗サービスは客単価が低いため、スタッフの時給も抑えられがち。ただし、客数獲得のために長時間営業するので労働時間が長く、総収入は多くなります。逆に出張サービスは時給が高いものの、労働時間は比較的短時間です」
では、サラリーマンの小遣い稼ぎに向いているのはどちらか、考えてみると…。
副業に長い時間をさく余裕のある人は、店舗サービス。本業の合間に短時間で稼ぎたい人は、出張サービス、ということになるかも。あなたはどっち?