コンビニやスーパーのお菓子売り場には、プライベートブランド(PB)とナショナルブランド(NB)の両方が置いてある。同じようなポテトチップス、同じようなチョコレートなのに、なぜあえて両方置くのか?
お客さんがもっとも買いやすく、店も儲かる商品構成とは?
コンビニやスーパーが自社ブランドとして展開するPB(プライベートブランド)。
国内スーパーではPBが商品構成の10%を占めるようになり、売り場にすっかり定着しました。その魅力は、メーカーが作るNB(ナショナルブランド)より値段が2~3割安いこと。安くても利益が出るのでしょうか?
「PBを実際に作っているのは提携メーカーです。そこから安く仕入れるので、粗利益はNBとほぼ変わりません。利益率は、むしろNBより高いくらいです」
と語るのは、マーケティングの専門家である小川孔輔先生。
たとえば店頭価格100円、卸値70円のNBがあるとしたら、同等のPBは店頭価格70円、卸値40円前後。
どちらも粗利は30円。利益率を考えると、店にとってはPBを扱ったほうが有利です。
ユニクロの店頭は、すべてユニクロブランドではない!?
ならば、どうして品揃えをすべてPBにしないのでしょう?
「無印良品やニトリなど、PBが100%を占めるショップもあります。が、コンビニやスーパーが全品をPBにすると、お客さんはPB以外の商品を買えなくなってしまいます」
また、店内すべての商品をPBにした場合、数が多く売れない商品はコストがかさんで赤字になりやすいというデメリットもあるのです。
「品揃えを充実させつつ利益を出すには、主力商品のみをPBにして、補完的なものはNBでカバーするという方法もあります。実際、ユニクロはこのやり方です。店頭にあるのはすべてユニクロブランドだと思われがちですが、じつは小物の一部はほんのわずかな商品ですが、他ブランドのセレクト商品なのです」
店側はPBを扱うことで、NBの卸値を下げるというもう一つの狙いもあります。
値段の安いPBを扱うことで、メーカーに対してNBの値引きを迫るのです。
ただ、小川先生は「PB対NBの構図は、もう古い」と指摘。「いまは、PBとNBのどちらがいいかではなく、どの店のPBがいいのかという視点で商品を選ぶお客さんが増えてきました。PB対PBの図式です。が、そうなると、価格競争が起きて利益率が低下します。そういう意味では、もはやPBだから儲かるという時代ではなくなってきているのです」
こうした変化を受けて、企業のPB戦略も変わりつつあります。
「赤字覚悟の格安PBで集客するか、高品質のプレミアムPBを開発してNB並みの価格で展開するか、どちらかに迫られています。PBの比率は今後も増えると思いますが、これからが正念場です」
今後PBがどう展開していくのか、要注意です。