コンビニやスーパーのオリジナル商品が注目されている。小売店の「プライベートブランド」と呼ばれるモノだが、とにかく安い!いったいどうやって低価格を実現しているのか?その謎を探った! 一流メーカーと同じ品質なのに、なぜ安いのか?
不況でも売れているのが、コンビニやスーパーなど小売店が独自に展開するプライベートブランド(PB)。メーカーのナショナルブランド(NB)と比べて、かなりリーズナブル。安いぶん、品質はイマイチかと思いきや…。
「じつは、PB商品の製造元の多くは一流メーカー。中身はNB商品とほとんど同じです」
と解説してくれたのは小川孔輔先生。でも、中身が同じなのに、なぜPBのほうが安い?
「小売店がメーカーに安く製造を委託しているからです。たとえば卸値70円、店頭価格100円のNB商品に対して、PBの場合、小売店は同じものを卸値40円で製造を委託。それを店頭価格70円で販売しているんです」
小売店もメーカーも得するPB商品の仕組みとは?
だが、小売店がわざわざPBを作って安く売るメリットは?
「小売店にとって、NBもPBも1個あたりの粗利はそれほど変わりません。ただ、PBは店頭価格が安いので売りやすい。また、卸値が安いため、利益率がいいのです」
(図参照)
では、メーカーにとってはどうなのか?安く製造を請け負えば、損をしそうだが…。
「メーカーがPBを請け負い、商品を作る量が増えれば、原料を大量にまとめて仕入れられ、製造ラインもフル稼働します。そのぶん原料費や設備投資費が割安になり、原価が下がります。原価が下がれば、もともと作っていたNBの利益率が向上します。また、PBは小売店が売ってくれるので、店員などの販売管理費が不要。原価が下がる効果と合わせると、安く請け負っても利益が出るのです」
そうはいっても、PBばかりが売れると、NBが売れなくなってメーカーが困るのでは?
「いえいえ。メーカーは、もし小売店からPBを受け請わなければ、その仕事を他のメーカーにとられてしまう。当然、シェアは奪われます。だったら、自社で請け負ったほうがはるかにいいのです」
定番商品がメインだったPBの品ぞろえに変化が!
なるほど、小売店とメーカーの両者がトクする仕組みだ。ただ、どんな商品でもPBに適しているとは限らない。
「かつてビールやシャンプーといったPBが失敗しています。というのも、PBは定番商品向きで、消費者の気分やトレンドに左右されるモノには不向きなんです。ただ、最近はPBでも、カレーやインスタントコーヒーなど嗜好性の高いものもヒット。流れが変わりつつあることもたしかです」
今後、どんなPB商品が登場するか、期待が膨らむ。
ウーロン茶の値段の違い
セブンプレミアム烏龍茶(PB)98円
サントリーウーロン茶(NB)148円 (ともに500ml)と、値段に差が。
<参考図>
ナショナルブランドとオウライベートブランドの値段の内訳
●ナショナルブランド(プライベートブランドも作っている)
店頭価格100円 卸値70円(原価35円販管費10円メーカーの利益25円)小売店の粗利30円
● ナショナルブランド(プライベートブランドを作っていない)
店頭価格100円 卸値70円(原価40円販管費10円メーカーの利益20円)小売店の粗利30円
● プライベートブランド
店頭価格70円 卸値40円(原価25円メーカーの利益15円)小売店の粗利30円