昨日は、大学院教授会で、博士論文の審査があった。6年間わたしが指導してきた酒井麻衣子さん(現在、多摩大学准教授)の論文審査会であった。主査なので、審査結果を教授会で報告した。無事に博士号を取得 審査結果の朗読(全部内容を読み上げる)を聞いていた同僚の木村純子先生が、わたしの発話法について、以下のようなコメントをくださった。本人の許諾無しに、HPにアップする。そのように聞こえたのか・・・としごく光栄ではある。
木村さんとは、現在、異文化マーケティング論の翻訳をはじめている。“Marketing Across Cultures”(第5版)の翻訳作業である。参加者の皆さんに対してわたしは、「ニューズウイーク日本語版」のような感覚で日本語にしてください!」と指示している。そのことに、木村さんが反応してのことであるらしい。
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小川孔輔先生 (20090227)
こんにちは。木村純子です。
今日は酒井さんの博士学位の審議お疲れ様でした。
以下は、少し長いメールです。
(1)お話し方
小川先生が審議中にお話なさっている時に、気づいたことがございました。
小川先生は翻訳を「ニューズウィーク日本語版」スタイルになさるだけではなく、話し方も、まるで英語みたいでいらっしゃいました。
息継ぎの箇所が、外人さんが切る所と同じだったからです。
「It was great weather today. However I couldn’t feel good.」
この2つの文章を、日本人が音読すると「It was great weather today.(間) However I couldn’t feel good.」となります。
英語ネイティブの人が読むと「It was great weather today however…(間) I couldn’t feel good.」となります。
小川先生は日本語の文章を読んでいらっしゃるにもかかわらず、読み方は英語でした。
宇多田ヒカルのデビューソング「automatic」がヒットした要因を「歌詞の切り方」で説明した人がいました。
automaticのメロディを思い出しながら、今日の小川先生のご発表をお聞きしていました。
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そういえば、宇多田ヒカルのautomatic は、以下のような息継ぎになっている(<BR>)。
七回目 のベル で受話器 <BR>
を取った君 名前 <BR>
を言わなくて <BR>
も声で分かってくれる。
助詞(接続詞)のまえで、息継ぎをするのである。
わたしはといえば、昨日のことをおもいだしながら・・・
<酒井論文の評価、前略>
本論文の貢献は、この10年間で理論的に発展を遂げてきたリレーション・マーケティングが抱えている4つの課題に対して、実証的な面からの回答を与えていることである。すなわち、<BR>
リレーションシップ・マーケティングの基本的な課題は、①<BR>
企業視点への偏り、②<BR>
テクノロジーの進展がサービスに与える影響、③<BR>
サービス・リレーションシップの包括的なモデル化の必要性、④<BR>
横断的研究の限界であるが、本論文は<BR>
上記の4つの視点から、基本的な課題を解決するために分析を試みている。とくに<BR>
実証面から、従来の関係性マーケティングの理論が充分にカバーできなかった部分を、④<BR>
「パネルデータの時系列分析」と②<BR>
「ネット調査による消費者アンケートデータの分析」から明らかにしようとしている。その際に、<BR>
①「企業視点への偏り」を回避するために、<BR>
顧客視点からの「リレーショナル・ベネフィット」に着目し、サービス提供における顧客との関係性を長期的に維持させる要因を明らかにしている。また、<BR>
顧客側の心理構造については、部分的なモデルではなく、③「包括的なリレーションシップ・モデル」を提示している。
以上のような区切り方でしゃべっていたらしい。木村さんの言うとおりだった。わたしは、このほうが気持ちがいいのである。