ようやく昨日、すべての原稿を村上直子さんに提出した。安堵のためか、昨夜は、またしても電車を乗り過ごしてしまった。沖縄から来た「太陽の花」のふたり(兼島さん、仲田さん)+松島さんと4人で、上野の「れんこん」で10時まで飲んだ。名物のれんこん料理におさしみである。
昨夜は、12時の矢切行き(上り電車)に辛くも救われた。ぎりぎり、12時半に帰宅。「佐藤」(芋焼酎)など、調子に乗って、3人とたくさん飲んだ。実は、いつ寝付いたのか、よく覚えていない。
それくらい、朝4時から長い時間を仕事していた。国道16号線に沿って、まだ薄暗い中を10Kほど走って、シャワーを浴びてから原稿を書いた。最後の「終幕(カーテンコール)」を校正して、「あとがき」を完成させた。
そののちに、日野自動車の本社に連絡。杉本さんにファイルのチェックを依頼。島根日野の井上本部長には、ご本人に電話で連絡を入れた。カーテンコール(B2Bの自動車販売)では、「男子力」がテーマだ。
そういえば、つぎの「マクドナルド本」は、第3章までラフ原稿ができている。編集担当者の宮崎さん(東洋経済)からは、早めに見せてほしいと言われているが、もう少し完成度が高まってから送ろうかと思っている。
彼女に序章だけは読んでもらっている。構成と内容に興味を持ってくれているようだ。一部は、彼女自身の企画案を反映させてもいるからだろう。
そんなことをしているうちに、マクドナルド本は、原稿の完成が予定よりも一か月ほど遅れている。一緒に作業をしている青木は、まじめで慎重な性格だ。大幅な遅延を心配している。わたしは、この手の原稿は、「神様がもたらすもの」だと思っている。だから、「こうのとり」が降りてくるのを待つしかない。
昨日、あるフリーライターのかたが5月に書いた原稿を、JCSIの湯浅さん見せられた。わたしが書こうとしている内容と着想がとても似ていた。JCSIのデータなど、わたしのブログや松浦君(東洋経済記者)の記事を見ないとわからないはずの分析記事だった。
引用元(小川、あるいは、松浦記者)をきちんと示していなかった。だから、昨日から、10月にマック本が完成するまでは、わたしのマクドナルド関連のブログ記事は「非公開」にすることに決めた。しばらく、読者にはご不便をおかけするが、著作権の保護のためである。
松浦大君からのメールにもあったが、コピペ文化が悪いわけではないが、引用だけはしてもらいたいものだ。
さて、祭りが終わった後の「あとがき」である。
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小川孔輔(2014)『CSは女子力で決まる!』生産性出版 V2:20140722
あとがき(謝辞)
ここ10年ほど、経産省とSPRING(サービス産業生産性協議会)の仕事で顧客満足度(CS)の調査に関わってきた。その成果は、日本で最大規模の消費者調査(「日本版顧客満足度指数(JCSI)」に結実している。上位企業のCSスコアと満足度のランキングが、毎年3月に公表されている。近年では、調査データそのものが、小売サービス業のオペレーションやマーケティング戦略の見直しに利用されるようになってきている。
本書を企画した4年前の時点では、JCSIの調査データを解説する書籍に仕上げるつもりでいた。仮のタイトルとして、『日本でいちばん(女性に)喜ばれているサービス』という案を想定していた。出版社も早々に生産性出版に決め、編集者として深谷さんを担当者にお願いしてあった。JCSIが一般に供用され始めた2010年の春頃のことである。
ところが、独自に取材した企業(日野自動車や呉ベタニアホーム)などを観察していると、社員にやさしい小売サービス業でCSが高い企業は、明らかに社員の満足度(ES)も高いことがわかってきた。とくに、女子社員の働きぶり(優れた顧客対応)がCSの高さを決めていることが明らかだった。従業員が働きやすい企業は、顧客にもやさしいサービスが提供できている。そのことが、同時に高い収益につながるという「サービス・プロフィット・チェーン」の仕組みを、日本企業の実例を用いて解説することに編集方針を転換することにした。
一般的に、従業員の満足度が高い働きやすい企業は、「ホワイト企業」と呼ばれている。そこで、タイトルを『ホワイト企業』に変更することにした。そこまできて、このタイトル案には、取材先から強烈な牽制球を投げられてしまった。とくに、「ロック・フィールド」の岩田弘三社長と「ヤオコー」の川野幸夫会長からは、「先生、それ(ホワイト)だけは勘弁してくださいね」と懇願されてしまった。2社の事例を本書から外すわけにはいかない。結局は、編集担当者の村上直子さんとふたりで悩みに悩んで、頭をひねって思いついたのが、現在のタイトル『CSは女子力が決める!』である。
あるとき不意に、「劇団四季」の原稿を書いている途中で、そういえば、全部のケースに必ず「女子社員」がひとり登場していることに気づいた。それならば、フィスクが提唱している「劇場アプローチ」を全編の構成で採用してみたらどうだろうか? 「女子力」なのだから、その女性従業員を「女優」に見立てるアイデアから、わたしの妄想がはじまった。
そして、編集者の村上さんには、「“章”ではなく“幕”にしてみません?」と提案してみた。せっかくだから、本の装丁とレイアウトも「劇場的なスタイル」にしたい。そのため、特別に知り合いのデザイン会社に依頼してみることにした。ここまで来ると、勢いは止まらなくなってしまった。2011年に『しまむらとヤオコー』(小学館)でお世話になった「なのなのグラフィックス」の大内さんに連絡して、「時間が切迫している上に、そんなにお金も払えないけど、今回もやっていただけませんか?」と懇願してみた。
その結果、大内さんのデザイン・アイデアを、前回と同様に、小幡さんがデザインしてくださることになった。編集作業は、強力なチームの編成で実行されるようじなった。そこで採用したのが、各章(幕)ともに、「舞台(ステージ)」を準備して、「登場人物(キャスト)」を並べて、「企業(ロゴ)」にスポットライトを当てながら「幕を開ける」というアイデアだった。
幕のタイトルは「経営理念(ブランドコンセプト)」で置き換え、巻末の「登板表」には、劇場アプローチの共通の枠組みにしたがって、「幕」ごとに、「舞台監督(経営者)」と「稽古場(研修センターや工場)」を付加することにした。
本書に登場している企業を取材するにあたっては、あまりにたくさんの方のお世話になった。多すぎるゆえに、一人ひとりのお名前を紹介するスペースがなくなってしまった。まずは、そのことをお許しいただきたい。
だだし、さすがに、編集にあたって助力をいただいたふたりだけは、お名前を紹介しておきたい。ひとりは、「天城湯ヶ島温泉 落合楼村上」のコラムを書いていただいた大久保あかねさん(法政大学大学院講師、常葉大学教授)と「RBS(アールビーズ)」の橋本治朗社長である。橋本さんには、奥様の下条由紀子編集長(『月刊ランナーズ』)を紹介していただいた。
なお、いつものことながら、小川研究室の青木恭子(リサーチ・アシスタント)と福尾美貴子(秘書)には、インタビュー記録の作成から取材先企業のアポイント取りまで、大いに世話になった。このふたりがいないと、42冊目の本は完成することはなかっただろう。
そして、わたしがめったに使わない、流行語っぽい表現の「女子力」という言葉をタイトルに入れることについて、賛否両論があったことをお知らせしておきたい。周囲にたずねてみたところ、「8:2」で本書のタイトルに好意的な意見が多めだった。意外にも、学術・調査畑のひとに、反対者が多かったのが印象的だった。
著者